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【ブログ】国交省に向けて温度応力解析の勉強会を行いました!

温度応力解析とは、マスコンクリートと呼ばれる大規模なコンクリートの打設時に、セメントと水の水和反応によって生じる水和熱による温度ひび割れを事前に検討・対策することです。
ひび割れが発生するとコンクリートの劣化が進行し、寿命が短くなってしまいます。コンクリートの長寿命化のためにも温度応力解析の実施が推奨されています。

11月24日、そんな温度応力解析について国交省向けに勉強会を行いました。
今回は、講師を務めた当社社会基盤マネジメント部の森本さんに、温度応力解析の概要や勉強会の内容をお伺いしました。

温度応力解析とは?

―勉強会についてお伺いする前に、温度応力解析とはどのような業務なのか教えてください。

「まず、当社の社会基盤マネジメント部は主にコンクリートや鉄の構造物の試験・検査・調査をしている部署です。その中でも、コンクリート構造物についてすでに建っているものというよりは新しく建てるものの解析やシミュレーションをするのが当社で実施している温度応力解析です。​​​​​​​

そこで、なぜ解析をしなければいけないのか?という話になりますが、温度応力解析の目的はコンクリートの劣化原因であるひび割れを事前に抑制するためです。
コンクリートというのは、セメントや土、水、砂利など様々な材料を混ぜて固めていきますが、その過程で化学反応が起きると熱が発生します。この熱は60度や70度まで上がり、化学反応が収まったら外気温ぐらいまで冷めていきます。このように温度が上下すると、コンクリートが膨張したり収縮したりするということが起こり、ひび割れが発生してしまいます。ひび割れは構造物を劣化させる原因であると言われているので、事前にシミュレーション、解析を行い、ひび割れを予測します。

解析結果をもとに対策を提案し、お客様と相談しながら方向性を決め、最終的に報告書として提出するというところまでが業務内容です。」

―温度応力解析のシミュレーションはどのようにされているのでしょうか?

「工事で使用されている二次元の図面を頂いて、それをもとにパソコン上で3Dモデルを作成します。モデルが完成したら、日程や施工の条件を入れてどのように温度が変化していくのかということと、温度変化によってどこにひび割れが入るのかという2つの照査を行います。」


図1:温度応力解析 解析結果(柱 断面図)

「例えば、こちらの画像は高速道路の柱の断面図の解析結果になります。赤くなっている部分は非常にひび割れが入りやすい部分で、何か対策を取らなければいけないというところです。対策を取っておかないとひび割れが入ってぼろぼろになってしまうというイメージですね。」

―ひび割れが入りやすいところが分かった際、どのような対策を取るのでしょうか?

「対策工に関しては、ひび割れ誘発目地や膨張材の使用、配合の変更、他にも選定頻度の高いものから最新のものまで様々あります。それぞれにメリットもあればデメリットもあるので、解析結果や現場状況に応じて選定していきます。」

国交省に向けた勉強会について


図2:勉強会(WEB)の様子

―11月24日に国交省に向けた勉強会を行ったとのことですが、勉強会を行った経緯を教えてください。

「各整備局や事務所によって温度ひび割れ照査の解釈や考え方に違いがあるので、温度応力解析の解釈に国交省の方も困っているようでした。そこで国交省の方が、受け取った報告書について理解を深めたいとのことで勉強会を依頼してくださいました。

通常、当社で温度応力解析を行った場合、当社からゼネコンに報告書を提出し、その報告書が役所へ行くという流れになります。解釈が難しいため報告書について質問が来ることも珍しくありませんが、その際に提出した詳細な資料を目に留めてくださったのではないかと思っています。」

―勉強会はどのような内容で行いましたか?

「勉強会では、ひび割れのメカニズムについて、温度応力解析の概要、温度ひび割れ対策、解析の事例をお話し、質疑応答の時間も設けました。特に温度ひび割れの対策工に関しては一般的なものから最新のものまでいろいろあるので、対策工によってどの程度効果があるのかを中心にご説明しました。また、それぞれの対策工にはメリットもあればデメリットもあるので、そのあたりは注意してお伝えしました。」

―今回勉強会を行ってみていかがでしたか?

「勉強会については、質問もいくつか頂き良い印象をもって頂けたのではないかと思っています。事前解析を行い可能な限りひび割れを抑制することで、作業工程の遵守や補修費用の最小化にも繋がります。是非1度ご相談いただきたいと思います。」

森本さん、インタビューのご回答ありがとうございました!

マスコンクリートの打設の際には、温度応力及び温度ひび割れに対する十分な検討を行わなければならないとされています。
コンクリートは、ひび割れを無くせば無くすほど長期耐久性が増し、長期に渡って健全な状態を保つことが出来ます。構造物を安心して使用するためにも、温度応力解析のご検討をお願いいたします。
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温度応力解析について詳しくはこちらをご覧ください。

  【非破壊】マスコンクリート三次元温度応力解析 株式会社土木管理総合試験所





光本 榛名
光本 榛名
部署:マーケティング部

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