【ブログ】水のおはなし~この水はきれい?~
ここに、ビンに入った3本の水があります。色が違いますが、多くの方は色が薄いほどきれい、という印象を持たれるのではないでしょうか。
色だけで考えると、左側のビンの水はミルクティーにも見えます。右側はスポーツドリンク?とすると、もはやきれいかどうか、は見た目ではわかりません。
水がきれいかどうか、それは、その水がどんな水か、また、どんな水質かで判断が変わります。例えば、川の水なのか、水道の水なのか、プールの水なのか、などなど・・・
以上のように、水がきれいかどうか(汚染があるかないか)を判断するためには様々な水質の指標があります。法律に基づく基準値もありますし、その他、用途に合わせて目安となる基準値も設定されています。
さて、ここで水の基準値について考えてみたいと思います。水質の基準は法律や用途によって異なりますが、例えば、あるサンプルの分析結果と、「環境基準」、「排水基準」について、一部の項目の値を並べてみます。
なお、ここからは「きれい」という表現が誤解を招くかもしれませんので、「満足する水質」という表現にしたいと思います。
分析項目 |
環境基準 |
排水基準(許容限度) |
サンプルの分析結果 |
カドミウム |
0.003mg/l以下 |
0.03 mg/l |
0.01 mg/l |
鉛 |
0.01 mg/l以下 |
0.1 mg/l |
0.001mg/l |
フッ素 |
0.8 mg/l以下 |
8 mg/l |
0.08 mg/l |
ホウ素 |
1 mg/l以下 |
10 mg/l |
0.01 mg/l |
このサンプルの場合、鉛、フッ素、ホウ素は環境基準、排水基準のいずれにも適合しています。一方、カドミウムは排水基準には適合していますが、環境基準には不適合です。
したがって、カドミウムに着目すると、この水が排水であった場合(排水基準適用)は問題ない水質ですが、河川水であった場合(環境基準適用)は問題がある、つまり、排水としては満足する水質、と言えますが、河川水としては満足しない水質ということになります。
今度は、あるサンプルの分析結果と「河川水の環境基準」について、一部の項目の値を並べてみます。「河川水の環境基準」は一般的に上流に行くほど厳しい基準となります。
分析項目 |
AA類型の基準 |
A類型の基準 |
サンプルの分析結果 |
BOD |
1 mg/l以下 |
2 mg/l以下 |
1.5mg/l |
大腸菌群数 |
50MPN/100ml以下 |
1,000MPN/100ml以下 |
100MPN/100ml |
サンプルが②の場所で採取されていれば基準に満足する水質、①の場所で採取されていれば満足しない水質と判定されます。
このように水にはさまざまな判断基準が存在しています。
次回(不定期発行)はそれぞれの基準値について整理したいと思います。
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