土壌腐食環境調査(建設環境部門)

インフラ建設に伴う環境影響を調査し分析します

土壌腐食環境調査とは

インフラの維持管理において問題となっている埋設鉄構造物のうち、水道管については全国の約20%にあたる10万km以上が交換時期を迎えています。交換が必要な管路が年々増加しているのに対し、年間の更新率は伸び悩んでおり、更新には相当な年数を要すると考えられます。

管の中の水は、飲料水として使用可能な水なので、管を劣化させるような物質は多くは含まれておらず、交換時期を過ぎた水道管が直ちに寿命を迎え、水道水の汚染につながるわけではありません。

管の内側はそれほど劣化のスピードは速くなく、長く使える場合もありますが、管の外側は、接触している土壌の性質により、腐食が進みやすい場合もあります。

例えば、鉄を腐食させる、水素イオン濃度(pH)が低い土壌に接触している場合など、接触している土壌の性質によって、水道管の劣化のスピードは全然違うため、土壌の腐食調査が大切になってきます。管の交換において、管の腐食度合いと土壌調査の結果を組み合わせて、腐食の進行を検証することができます。


1.調査概要

調査概要

鋼材の腐食の促進に、酸性土壌や土壌中の塩化物イオンが寄与することは広く知られています。しかし土壌に埋設された鋼材に対しては、その他にも比抵抗、Redox電位、硫化物、水分等が腐食に大きく影響します。当社では、これら特殊な調査・分析について対応しております。


試験方法

試験対象 試験方法 
ガス管
  • 供内管腐食対策ガイドライン【令和2年7月改定版 経済産業省 産業保安グループ ガス安全室】
ダクタイル鉄管
  • 埋設管路の腐食原因とその防蝕について【日本ダクタイル鉄管協会】
  • 土壌の腐食性判定評価方法としてANSIが掲載されています。・

農業水利施設 鋼管

  • 農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル(鋼管等腐食対策編)【令和2年3月改定版(案) 農林水産省】
  • 調査方法としてANSIが採用されています。
水道管
  • 水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関するガイドライン【令和元年9月厚生労働省】
  • 周辺土壌調査としてANSIが採用されています。

土壌腐食環境調査・分析及び評価の方法

土壌腐食環境の調査・分析及び評価にはANSI規格(アメリカ)やDIN規格(ドイツ)の2つの方法があります。

評価・判定方法
ANSI規格
(アメリカ)
DIN規格
(ドイツ)

ポリエチレンスリーブ被覆の要否

腐食の速度を4段階で判定
ANSIとDINの比較

調査・分析項目

ANSI

DIN

細粒分含有量(粒径0.06mm以下)​ 

  〇 

有機炭素含有量
(泥炭、沼沢地土壌、粘土、湿地土壌、腐植土) 

  ○ 
 酷く汚染された土壌

(燃料灰、スラグ、石灰片、コークス、ごみ、瓦礫、廃液による汚染)

   ○
 土壌比抵抗 ○  ○ 
 含水比 ○  ○ 

pH 

○  ○ 
 pH4.3までの酸度​​​​​​   ○ 

pH7.0までのアルカリ度​​​​​​

  ○ 

硫化物(S2-)含有量

 

 

○  ○ 

水抽出による塩化物(Cl-、SO42-)​​​​​​

  ○ 

硫酸塩(SO42-)含有量

 

  ○ 

地下水に対する構造物の位置 

  ○ 
Redox電位

 

 

○   

2.調査事例

事例①:水道施設(埋設配管)

  • ダクタイル錆鉄管/埋戻し土の事前評価および供用中の状況調査[ANSI A21.5-99]


事例②:のり面工

  • テールアルメ工法/盛土材料の適正評価[盛土材料の電気化学的性質に関する試験項目]
  • 鋼材に接する土壌の適正評価(中詰土調査)

事例③:基礎工

  • 交換杭施工箇所の腐食性評価











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