【ブログ】30by30とは ~“生物多様性“ という言葉を最近よく見かけませんか?~
30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは?
30by30とは、2030年までに地球の陸と海の健全な生態系の30%以上を保全するという目標で、
生物多様性の損失を食い止め、自然の恵みを取り戻すため(ネイチャーポジティブ)に必要な取り組みとして、国際的に合意されています。
2022年12月にカナダ・モントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の目標3に記載されています。
▲ 30by30アライアンスのロゴ
なぜ30%なの?
では、なぜ30%なのでしょうか?実は、これは科学的な根拠に基づいて決められた数字です。研究によると、陸と海の30%を保全することで、地球上の多くの動植物の種を守ることができるとされています。また、自然が提供する空気や水、気候調節、食料、医薬品などのサービスも維持され、人間の健康や幸福にも寄与すると考えられています。
しかし、現在の状況は、30%という目標にはほど遠いものです。世界の陸域の約15%、海域の約7%しか保全されていません。さらに、保全されているといっても、その質や効果は十分ではない場合が多くなっています。人間の活動によって、自然は破壊され、汚染され、侵略されています。その結果、多くの生き物が絶滅の危機に瀕しており、自然の機能も低下しています。
このままでは、自然の恵みを失い、人間の生存も危うくなってしまうかもしれません。そこで、30by30は、自然と人間の共生を目指すために、今すぐにでも実現しなければならない目標として掲げられました。
日本の現状と取り組み
日本も、30by30の達成に向けて、積極的に取り組んでいます。2023年3月には、新しい生物多様性国家戦略が閣議決定され、30by30が目標の一つとして盛り込まれました。
取り組み➀30by30アライアンス
30by30の達成に向けて30by30に賛同する有志の企業・自治体・団体の参加が可能です。
ただし条件として以下の要件があります。
●所有地や所管地の国際OECMデータベース登録を目指す
●保護地域の拡大を目指す、拡大を支援する
●保護地域、及び国際OECMデータベース登録を受けた(受ける見込みの)エリアの管理を支援する
●自治体の戦略に30by30目標を取り込み、保護地域の拡大、国際OECMデータベース登録及びその管理の支援を推奨する
また参加者はこれらの取り組みの積極的な発信を求められています。
取り組み②自然共生サイト
自然共生サイトとは、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域のことです。
生物多様性の価値を有し、事業者、民間団体・個人、地方公共団体による様々な取組によって、
(本来の目的に関わらず)生物多様性の保全が図られている区域が、「自然共生サイト」の対象となります。
取り組み③とてして説明するOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)登録と言われるWD-OECM(OECM国際データベース)に登録するためには自然共生サイトへの登録が必要になります。 自然共生サイトに認定された区域のうち、保護地域との重複を除いた区域が「OECM」として登録されます。
【自然共生サイトの対象となる例】
企業の森、ナショナルトラスト、バードサンクチュアリ、ビオトープ、自然観察の森、里地里山、森林施業地、水源の森、社寺林、文化的・歴史的な価値を有する地域、企業敷地内の緑地、屋敷林、緑道、都市内の緑地、風致保全の樹林、都市内の公園、ゴルフ場、スキー場、研究機関の森林、環境教育に活用されている森林、防災・減災目的の森林、遊水池、河川敷、水源涵養や炭素固定・吸収目的の森林、建物の屋上、試験・訓練のための草原・・・
引用:環境省HP自然共生サイト
自然共生サイトに登録するのに必要な条件とは?
自然共生サイトの認定基準は以下の4つの大項目から構成されています。
➀境界・名称に関する基準
②ガバナンス・管理に関する基準
③生物多様性の価値に関する基準
④管理による保全効果に関する基準
また認定後は、維持管理や5年ごとのモニタリング実施なども必要です。
取り組み③OECM登録
国立公園や自然公園などの保護地域の拡充に加えて、地域や企業、団体によって生物多様性の保全が図られている土地をOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として認定し、WD-OECM(OECM国際データベース)に登録する取り組みも進めています。
OECMとは、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)で提唱され、国際的な保全ツールとして注目されています。保護地域ではないけれど、生物多様性の保全に効果的な地域をベースとする手段のことです。例えば、里地里山や企業林や社寺林などが該当します。これらの地域は、自然の恵みを生かした持続可能な利用や管理が行われており、生物多様性の保全に貢献しています。
▲自然共生サイト申請・登録からWD‐OECMへの登録のフローイメージ
※当サイトの内容は2023年12月時点のものです。自然共生サイト、OECM認定申請の詳細については環境省ホームページ「自然共生サイト」をご参考ください。
土木管理総合試験所の取り組み
土木管理総合試験所は環境保全に取り組む会社として30by30アライアンスの参加を表明致しました。
今ある多様な生態系を有している土地を自然共生サイトに登録する際には、生態系の調査が欠かせません。
また、自然共生サイトにビオトープなどを登録することもできますが、登録後も5年に一回の調査必要なため、維持管理をし続けることが大切です。当社は生態系の調査や、多様な生態系を保つためのビオトープの維持管理を行っております。
保有している土地を自然共生サイトに登録できないか検討している、生物多様性に貢献したいと考えており相談できる所を探している等がございましたら、当社にお問い合わせください。