自然由来重金属含有土・酸性土分析

自然由来重金属含有岩石・土壌を把握し適切な対応で
現場の対策コスト削減につなげる

建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(2023 年版)とは

自然由来の砒素や鉛などの重金属等を含む岩石・土壌(以下、発生土)は日本全国で広く分布していますが、建設工事で発生する発生土は、盛土や埋土の材料として有効利用が図られることが望ましいとされ、適切な対応が求められています。
しかしながら、自然由来重金属を含有する岩石は土壌汚染対策法の対象外である点や、「建設工事で遭遇する地盤汚染対応マニュアル(改訂版)」では調査方法、及び対策が自然由来重金属含有発生土の特徴と合わない点等がありました。

これにより、国土交通省が2023年3月に、建設工事における自然由来重金属含有土および酸性土による人への健康影響や生活環境への影響に関して、環境安全性を確保しながら効率的な事業施行の推進を図ることを目的として、『 建設工事の発生土に含まれる自然由来重金属等へ適切に対応するための標記マニュアル(以下、2023年版マニュアル) 』を公表しました。
2023年版マニュアルは発生土の利用に関連する法令、マニュアルに対し補完すべき内容を含みつつ、「建設工事で発生する自然由来重金属等含有土対応ハンドブック」(平成27 年3 月)について、蓄積された技術的知見や平成31 年に施行された改正土壌汚染対策法の内容を踏まえて改訂したものです。

本マニュアルでは調査、試験、評価、対策が具体的に記載されたことにより、公共工事による自然由来重金属含有岩石・土壌を現場に適した方法で対策をとることができるようになりました。

 2023年版マニュアルの主な改訂点

  • 発生土の受入先に応じた標準的な対応方法を整理
  • リスクレベルに応じた最適な対策選択の考え方を整理
  • 酸性土への対応をマニュアルの目的に追加
  • 全含有量と溶出量の相関が低いことから、全含有量に基づくスクリーニング基準を廃止

2023年版マニュアルに則り対応することのメリット

環境安全性を確保するだけでなく、事業計画の早い段階から自然由来重金属等への対応方法の検討を行うことで、現場対応の選択肢を多くすることができ、さらには対策コストが低減される可能性が高いとされています。


1.自然由来重金属等含有土の対応ついて

▲ 建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(2023 年版)を参考に弊社で作成したイメージ図
※クリックすると拡大されます

自然由来重金属等含有土と酸性土とは

土壌汚染対策法の特定有害物質のうち、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)、水銀(Hg)、セレン(Se)、鉛(Pb)、ヒ素(As)、フッ素(F)、ホウ素(B)の8物質を重金属等とし、自然由来の重金属等を含む岩石・土壌あるいはそれらの混合物を「自然由来重金属等含有土」としています。
これらは人間を含めた動植物に微量に存在していますが、摂取量によっては健康被害が生じる場合もあります。
また、地中の還元的な環境で形成された岩石、土壌が雨水や地下水、大気等に接触することで、長期に酸性水を発生させる土を「酸性土」と言います。
発生土からの酸性水の発生は、植物や水生生物へ影響を与えるほか、酸性水の発生に伴って重金属等の溶出が促進される可能性があります。

※還元的な環境…酸素のない環境。有機物の分解によって消費される酸素量が供給量よりも多い状態を示す

参考:建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(2023 年版)


2023年版マニュアルの対象となる工事判定フロー

土壌汚染対策法や発生土の移動に関わる法令・条例等の対応に該当はしないが、一定の基準を超えた自然由来重金属等含有土や酸性土が発生土に含まれている場合は2023年版マニュアルの適用範囲となります。

この発生土を「要管理土」と言い、要管理土は環境安全性の高低に応じて「搬出時管理土」「要対策土」に分類されます。
建設工事における発生土の分類は左記の通りになります。

要管理土を細かく分類することで現場に適した方法で対策をすることができます。

参考:建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(2023 年版)

▲ 建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(2023 年版)を参考に弊社で作成したイメージ図

2.試験の概要

当社は採取から要管理土判定試験の実施、及び発生源濃度の評価に伴う実現象再現溶出試験などの各種試験・分析を実施しています。
また対策工の施工後、対策工の健全性を把握するための水質モニタリングも対応します。
2023年版マニュアルで必要な対応についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。

▲ 上:採取状況、下:分析の様子

要管理土判定試験

現場で試料採取を行い、まず発生土が要管理土であるか判定します。
試験を実施することで発生土の溶出特性の把握が可能となり、リスク評価や対策工の概略検討を行ううえで有用となります。

◃発生源濃度の評価▹
実現象再現溶出試験

要管理土による盛土等からの重金属等の地下水への溶出濃度(発生源濃度)を推定し、濃度に応じた[極低][低][高]に区分します。

発生源濃度の推定には、
要管理土判定試験とともに実現象再現溶出試験を実施することで、経時的変化を実際の現象に近い溶出濃度で評価することができ、より合理的な対策を取ることが可能です。
実現象再現溶出試験は実際の盛土予定箇所に近い盛土環境等を任意に再現して実施する溶出試験です。

弊社は、土研式雨水暴露試験、繰り返し溶出試験やタンクリーチング試験、上向流カラム通水試験など現場の状況に合わせた実現象再現溶出試験に対応しています。

▲ 土研式雨水暴露試験の様子(上:全景、下:近景)

▲ 水質モニタリングの様子

盛土等の長期水質モニタリング

対策工の設計段階から地下水、排水先の表流水、施工中の工事排水、排水が流れる河川水をモニタリングし、対策工の施工の健全性を確認するために行います。


3.このような企業様、官庁様へおすすめ

・山岳トンネル、シールドトンネルや、造成工事、切土工事・建築工事など発生土が生じる現場の施工計画者様
・事業計画、概略設計、詳細設計等をされる建設コンサルタント様
・道路・河川管理者(植栽管理用地の管理など)様











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