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【ブログ】DKCラボインタビュー|空港舗装メンテナンスの自動化・省力化に向けた実証実験について

建設業界において、労働人口の減少は以前から深刻な問題になっています。
労働人口減少の課題に対する取り組みのうちの1つとして、自動化・省力化があります。
土木管理総合試験所には、調査点検の自動化・省力化を目指し、最先端技術の研究開発を行うDKコンサルタント研究室(以下略称、DKCラボ)という部署が存在します。今回はそんなDKCラボの金野さん、竹元さん、井口さん、善財さんにインタビューを行い、DKCラボの取り組みと、空港で行った実証実験についてお伺いしました。

DKCラボとは?

―DKCラボがどのような部署なのか改めて教えてください。

金野さん:基本的には建設インフラ全般の調査点検技術の自動化・省力化を目指している部署です。その一つとして橋梁の損傷を可視化する技術だったり、地中を可視化する技術だったり、あとは他の企業の研究開発のお手伝いを行ったりしています。

―具体的には、現在どのような業務に取り組んでいますか?

金野さん:DKCラボでは、現在大きく分けて4つのプロジェクトに取り組んでいます。まだ公にできないものもありますが、主には路面性状調査業務の自動化・省力化、橋梁床版劣化状況の可視化技術を中心に研究開発を行っています。

―4つのプロジェクトを走らせているんですね。

井口さん:大きく分類すると4つなのですが、細かくするとさらに増えます。例えば同じプロジェクトの中でも、広い場所に対応したもの、狭い場所に対応したものなどに分かれています。

空港舗装特有の損傷に対する橋梁床版損傷検知アルゴリズムの適用に向けた実証実験について

―今回竹元さんから、旧南紀白浜空港の滑走路で空港舗装特有の損傷に対する損傷検知アルゴリズムの適用に向けた実証実験を行ったとお伺いしました。この実証実験を行うことになった経緯を教えてください。

竹元さん:もともと、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において橋梁床版の中の異常を自動かつ高精度で測定できるようにという部分で取り組んでいて、これが我々のコアな技術としてあります。しかし、それを道路だけに適用するというのは実に勿体ない話で。培ってきた技術をもっと広い範囲で活用できないかというのが基本のコンセプトです。まず1歩目として、現在は使われていない南紀白浜空港跡地で実施してみましょうという流れです。

―実証実験に空港を選んだ理由は何ですか?

竹元さん:探査に使用する当社のロードスキャンビークルは時速80㎞で測定することができます。空港の滑走路のように距離が長い場所は高速で測ることに価値がありますよね。

―空港舗装特有の異常というのはどのようなものがありますか?

金野さん:ブリスタリング、層間剥離がよく言われています。舗装内に水が介入し、それが水圧で破裂して舗装が飛んでしまう現象がブリスタリングです。ちょうど離陸したり着陸したりするときに舗装が飛んでしまうと、機体にぶつかったり吸い込まれたりすることがあります。

―ブリスタリングは頻繁にあるんでしょうか?

金野さん:これはやはり離着陸の多い空港で頻繁に起こる現象で、暑くて雨が多い6、7月くらいによく起こる損傷です。

―層間剥離はどのような損傷でしょうか?

竹元さん:アスファルトは一層では無くて何層かに分けて作ってあります。何層か分けてある層と層の間で起こる剥離です。

―本来密着しているはずの層と層が剥離してしまうのはどうしてですか?

金野さん:空港のアスファルト舗装には表層、基層があると思いますが、この層境に水が入ってしまうことで剥離します。離着陸等の衝撃によって中から壊れていきます。


―今回の空港での実証実験はいかがでしたでしょうか?

善財さん:運用面での課題が明らかになったのが最大の収穫ですね。例えば機器の準備に手間取るとか、目印のない中で真っ直ぐ測定すること自体が難しいとか。 技術面以外にも課題はたくさんあって、やるべきことがはっきりしました。

竹元さん:品質の高い価値を提供するために様々な経験を積んでいきますというところですね。数少ないチャンスを使ってやり続けないと技術開発が進まない分野だと思います。

―ちなみにレーダーを積む車はどのような車を使用するのでしょうか?

金野さん:車はレーダーのサイズに合わせています。

竹元さん:搭載されているアンテナがとても大きいので、大きい車でないといけないという制約があります。それがメリットでもありますが、狭いところには行けないのでデメリットでもあります。ですが適材適所だと思っていて、当社が持つ日本最大級のアンテナが最大限に活かせるのは広い場所です。そういった意味で、空港のような場所で測定できるというのは当社の強みになっています。

―ありがとうございます。最後に、今後の展望を教えてください。

竹元さん:まずは国内、そして世界にも打って出るシステムにしたいです。商業用空港に行って実績を積んで水平展開をする。海外の空港でも調査できるようになって、空港に出張してそのまま帰ってくる・・・せっかく海外出張したのに空港から出られないなんて笑い話ができると最高ですね。


今回インタビューにご協力してくださったのは、DKCラボの 金野さん、竹元さん、井口さん、善財さんでした。皆様、お忙しい中ありがとうございました!


写真左から 善財さん、竹元さん、井口さん


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  物理探査 株式会社土木管理総合試験所






光本 榛名
光本 榛名
部署:マーケティング部

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