【ブログ】IoTでコンクリートのひび割れ幅を遠隔監視!既設構造物における実績紹介
当社ではIoT時代の遠隔モニタリング技術として、コンクリートのひび割れを簡単かつ比較的安価に連続測定できる装置を製作いたしました。
装置構成イメージ
この装置について、これまでは社内での試験運用を行っておりましたが、今回は実際の現場に導入した実績について、導入の経緯や得られた効果、今後の展望などを技術第一部門の松山さんにお伺いしました。
装置の概要と製作経緯については下記 DKブログ関連記事 をご覧ください。 ブログ|IoTによるひび割れ幅モニタリングとは? |
モニタリングを行った経緯について
―どのような現場でひび割れのモニタリングを行われていますか?
松山さん:やはり橋梁の現場ですね。
―橋梁の現場でひび割れのモニタリングをすることになった経緯を教えてください。
松山さん:橋梁は5年に1度の点検が法律で定められています。モニタリングを実施することになった橋梁でも以前から点検を行っており、その中で構造的なひび割れが確認されたようです。補修工事を実施することになったようなのですが、実施までの間に何かあっては危険なので、ひび割れの進行状況を遠隔監視したいとご相談がありました。
―構造的なひび割れとはどのようなひび割れでしょうか?
松山さん:乾燥や温度変化によってできた軽微なひび割れではなく、地震など構造物としての強度よりも大きな荷重がかかったときに発生するひび割れです。「構造物として形状が保てないような危険なひび割れ」という風に考えていただくと良いかと思います。
―ありがとうございます。モニタリングをされたのは危険なひび割れだったんですね。
松山さん:はい。万が一、橋が落ちてしまっては大変なのでモニタリングをすることになりました。
モニタリングの状況について
―実際にひび割れのモニタリングを行ってみて得られた効果はございましたか?
松山さん:測定結果から、ひび割れは変動しているけれど気温によって縮んでいる傾向であることがわかりました。今すぐに橋が落ちてしまうような予兆は確認されませんでした。
―連続測定の間隔はどのくらいなのでしょうか?
松山さん:当社では10分間隔でデータを取っていますが、測定間隔は設定で変更することができます。
―では、反対にモニタリングを行ってみて見つかった課題点はございましたか?
松山さん:機器の構成上、現在温度センサはBluetoothで、ひび割れの幅を測定する変位計は有線でIoTゲートウェイと接続しています。ケーブルがない温度センサは、設置や準備の面でメリットが多いのですが、時々通信が途切れてしまうことがありました。データの欠測をいかになくすかが今の課題です。
装置システム構成(イメージ)
モニタリングデータの閲覧について
―モニタリング結果の画面というのはお客様も確認できるのでしょうか?
松山さん:お客様も確認できます。お客様用のユーザーIDとパスワードがあるので、それを使ってクラウドにアクセスしていただければ、リアルタイムで確認が可能です。
クラウド上で確認できるグラフ(イメージ)
―お客様が当社に依頼してくださった決め手は伺われていますか?
松山さん:オンラインでモニタリングシステムの説明をした際にお客様にデータの画面を見ていただいたのですが、見やすいねとおっしゃっていただいて、それが決め手になったのではないかと思います。
まとめ
―そのほか、現場で苦労されたことがあれば教えてください。
松山さん:初めに予定していたのはパイ型変位計でひび割れ幅を計測する方法でしたが、防水性ではないことや耐久性も考えて、橋梁の現場では亀裂変位計というものを取り付けました。
本来、亀裂変位計は平らな面に取り付けるものなのですが、ひび割れに大きな段差がある場合は取り付けが難しく、取り付け用の金具を製作して設置しました。当初はかなり悩みましたが、無事に設置もでき、多くのノウハウも得られたので、今後いろいろな現場に対応できるのではないかと思っています。
亀裂変位計タイプの装置
―最後に、今後の展望を教えてください。
松山さん:いくつかひび割れモニタリングに関するお問い合わせも頂いておりますが、著しい劣化が生じた構造物に対して補修工事に入るまでのひび割れ幅の変動をモニタリングしたいという要望が多いです。そのような現場に向けて、比較的安く簡単に、設置・モニタリング・データ確認ができるということをもっとアピールしていきたいと思っています。
―お忙しいところ、ありがとうございました!
改めまして、今回インタビューにご協力してくださったのは技術第一部門の松山さんでした。
当社で行っているひび割れ幅モニタリングについて、詳しくは下記リンクからご覧ください。
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