【ブログ】2026年(令和8年)1月から工作物の石綿事前調査についても有資格者による調査義務が開始


目次[非表示]

  1. 1.石綿事前調査と石綿関連法改正の変遷について
  2. 2.2026年(令和8年)1月~義務化の工作物石綿事前調査について
    1. 2.1.工作物石綿事前調査者による事前調査の対象となる工作物とは?
    2. 2.2.工作物石綿事前調査者資格を取得するには
  3. 3.事前調査・分析から産業廃棄物の処理までお手伝いします
  4. 4.関連コンテンツ

石綿事前調査と石綿関連法改正の変遷について

石綿(以下アスベスト)の事前調査とは、大気汚染防止法および石綿障害予防規則に、定められた建物の解体・改造・補修工事に伴い求められる調査です。

大気汚染防止法の一部を改正する法律が2021年(令和3年)4月1日から順次施行され、 事前調査が義務化されました。
2022年4月1日からは、建築物や工作物の解体・改修工事を行う施工業者(元請け事業者)は、アスベスト含有有無の事前調査結果を労働基準監督署と各自治体への報告を行うことが義務づけられました。
さらに2023年10月1日以降は有資格者による事前調査が必須とされています。


              ▶アスベストの基本についてはこちらのブログをご覧ください。


アスベストに係る法改正年表

2021年  4月
規制対象の拡大
レベル建材3の作業基準が設定され、すべてのアスベスト建材に作業基準が設けられた。

作業基準遵守義務者の拡大
下請負人が作業基準の遵守義務対象者となり元請負人は下請負人への説明義務が生じる。

直接罰の新設
直接罰が新設され作業基準に違反すると一時停止命令などは挟まず、直接3か月以下の懲役や30万円以下の罰金が科せられる。

作業記録の保存義務化
適切な作業が行われてたことを確認できる記録を作成し、3年間保存することが義務付けられた。

工事開始前の労働基準監督署への計画書の提出
レベル1・2の石綿建材を含む建築物の工事の14日前に、計画書を所管の労働基準監督署に届け出ることが義務化。
2022年4月
事前調査結果の報告義務化
一定の条件を超える建築物の解体・改修工事で事前調査を行い、結果を労働基準監督署と自治体へ報告することが義務化。
2023年10月
有資格者による事前調査の義務化
有資格者による事前調査が義務化。



2026年(令和8年)1月~義務化の工作物石綿事前調査について

現在、建築物や工作物の解体・改修を行う際は有資格者による事前調査が必須とされておりますが、工作物に関連する解体やその他の工事を行う際には、アスベストの使用有無について事前調査が必要です。特定工作物以外では、塗料やその他石綿が含まれる可能性のある材料を除去する作業が必要な場合に限ります。これらの材料には塗料だけでなく、モルタルやコンクリートの補修材(シーリング材、パテ、接着剤など)も含まれます。

2026年(令和8年)1月の改定では一部の特定工作物について、新たに指定された「工作物石綿事前調査者」による事前調査が必要と定めています。また、除去作業や対策工事が完了した後は、適切な知識を持つ者(作業主任者または調査者)による確認が求められます。

工作物石綿事前調査者による事前調査の対象となる工作物とは?

2026年(令和8年)1月の改定では一部の特定工作物について、新たに指定された工作物石綿事前調査者による事前調査が必要になりますが、一部の特定工作物とは具体的にどのようなものが対象になるのでしょうか。表1、左側の欄に具体的な工作物石綿事前調査者による事前調査の対象になる工作物を記載しました。

         表1.工作物石綿事前調査の資格者の対象となる工作物

工作物石綿事前調査者による事前調査の対象になる工作物

工作物石綿事前調査者もしくは、建築物石綿含有建材調査者(一般、特定)による事前調査が必要な工作物

・反応槽
・加熱炉
・ボイラー及び圧力容器
・配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備などの建築設備を除く。)
・焼却設備
・煙突(建築物に設ける排煙設備などの設備を除く。)
・貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く。)
・発電設備(太陽光発電設備や風力発電設備を除く。)
・変電設備
・配電設備
・送電設備(ケーブルを含む。)
・トンネルの天井板
・プラットホームの上家
・遮音壁
・軽量盛土保護パネル
・鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板
・観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物であるものを除く。)

・煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く。)
・トンネルの天井板
・プラットフォームの上家
・遮音板
・軽量盛土保護パネル
・鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板
・観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物に該当するものを除く。)


建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和6年2月改正厚生労働省、環境省)をもとに作成


工作物石綿事前調査者資格を取得するには

工作物石綿事前調査者は、工作物におけるアスベストの使用有無を正確に調査する能力を持つ者を指します。この資格を取得するには、工作物石綿事前調査者講習を完了しなければなりません。講習は基礎知識、図面調査、現場調査の実際と留意点、調査報告書作成の科目があり、合計で11時間の講習となります。講習後には筆記試験があり、試験に合格することで資格を取得することができます。
また、工作物事前調査者資格を取得するのには以下のいずれかの条件を満たす必要がありますので事前にご確認下さい。

●石綿作業主任者技能講習修了者
●大学で工学に関する課程を修めて卒業した後に2年以上の工作物に関する実務経験がある方
●短大で工学に関する課程を修めて卒業した後に3年以上の工作物に関する実務経験がある方
●高等学校または中等教育学校において工学に関する課程を修めて卒業した後に7年以上の工作物
 に関する実務経験がある方
●工作物に関して11年以上の実務経験を有する方
●建築行政または環境行政(石綿の飛散の防止に関するものに限る。)に関して実務経験2年以上
 の方
●特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者で工作物石綿事前調査に関して実務経験が5年
 以上ある方

ただし実務経験がなく工作物石綿事前調査者の資格を取得するのに時間を要してしまうという方は、実務経験が必要ない方でも取得可能な石綿作業主任者技能講習を受講頂くことをお勧め致します。

※記載の条件以外にも細かな受講資格が定められておりますので、詳細については建築物石綿含有建材調査者講習登録規定第16条の6をご確認ください。


事前調査・分析から産業廃棄物の処理までお手伝いします

当社は建設コンサルタントとして経験知識ともに豊富な資格者を有しており、「法令に準拠した事前調査とコンサルティングサービス」を提供しております。
建築物の解体・改修工事を実施する施工業者様の安全性確保や諸手続き支援、産業廃棄物の処理まで「アスベスト調査に関する課題やお困りごとのトータル支援」が可能です。

詳細は下記のページからご覧ください。

  建築物の解体・改良工事に伴う法令に定められたアスベスト事前調査サービス アスベスト(石綿)は、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能を有し安価なことから、高度経済成長期より耐火、断熱、防音等の目的で様々な建築物や工作物の建材に使用されてきました。 2005年アスベスト製造業者の従業員や近隣住民の中皮腫の発症や死亡を公表したことで、アスベストによる健康問題が社会的問題となりました。この問題に対応すべく政府による「アスベスト問題に係る総合対策」が策定され、解体時等の飛散・ばく露の防止、アスベスト廃棄物の適正な処理、アスベストの早期全面禁止などの法令が整備されました。 近年、アスベストの使用が許可されていた時代(2006年まで)に建設された建築物や建物内設備の更新期が到来し、大規模な都市再開発や企業内設備の更新などが活発化しています。 また、2020年に改定された石綿障害予防規則と大気汚染防止法により「アスベストの事前調査の義務化、事前調査結果の掲示など」の義務化が規定されています。 当社は建設コンサルタントとして「法令に準拠した事前調査とコンサルティングサービス」を提供し、建築物の解体・改良工事を実施する施工業者様の安全性確保や諸手続き支援、産業廃棄物の処理まで「アスベスト調査に関する課題やお困りごとのトータル支援」が可能です。 株式会社土木管理総合試験所



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下平 絵里加
下平 絵里加
部署:マーケティング部

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