【ブログ】現場体験取材3~アスベスト調査編~
現場体験取材シリーズでは、当社の様々な現場を取材・紹介しています。
第3回となる今回は、環境部の「アスベスト調査」の現場に行ってきました。
アスベスト調査について
アスベストとは?
アスベストは、石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれる天然の繊維状けい酸塩鉱物の総称です。耐熱性、絶縁性、耐薬品性、保温性などの優れた性質を持ち、使用用途は3,000種以上と言われていますが、使用量の約9割が建材となっています。
しかし、アスベストを吸い込むことで健康被害が引き起こされることがわかり、段階的に使用が規制されてきました。そして、2006年にはアスベストの使用が全面的に禁止となりました。
DKブログ 関連記事:アスベストの基本と法改正について
アスベスト調査とは?
2006年に使用禁止となったアスベストですが、それ以前に施工された建物にはアスベスト含有建材が使用されている可能性があります。解体・改修時にはアスベストが飛散する恐れがあるため、その前にアスベスト含有の有無を判断するのがアスベスト調査です。
偏光顕微鏡によるアスベスト分析(JIS A 1481-1)
2021年4月1日から、アスベスト事前調査が義務付けられ、2022年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベストの有無に関わらず、アスベスト事前調査結果の電子システムでの報告が必要になりました。
参考サイト:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト 工事の元請業者
また今後は2023年10月1日から、有資格者によるアスベスト調査が義務付けられます。下記の通り、工事によって必要となる資格が異なります。
一戸建ての住宅および共同住宅の住戸の内部の工事
・特定建築物石綿含有建材調査者
・一般建築物石綿含有建材調査者
・一戸建て等石綿含有建材調査者
・義務付け適用前までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者
その他の工事
・特定建築物石綿含有建材調査者
・一般建築物石綿含有建材調査者
・義務付け適用前までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者
調査の流れ
アスベスト調査全体の流れは以下の通りです。
① 第1スクリーニング(書面調査)
設計図書等を確認し、アスベスト含有懸念建材の使用箇所の確認をします。
② 第2スクリーニング(現地調査)
②-1 目視調査
建築物石綿含有建材調査者等の資格者が現地にてアスベスト含有懸念建材の使用の有無や必要な分析数量の提案を行います。
②-2 試料採取
書面調査・目視調査から判断したアスベストの含有が疑われる建材を周辺環境に配慮しながら採取します。
②-3 分析
土木管理総合試験所では、分析法JIS A 1481-1に基づいて分析を実施し、含有の有無を判断します。(ご希望の場合は、JIS A 1481-2による分析も対応可能です。)
今回の現場体験取材では、上記の流れの中から「試料採取」に同行させていただきました。
現場レポート(試料採取)
今回の現場は小学校です。空調設備設置の工事に向けて、アスベスト調査を実施することになりました。採取場所は下記の3か所で、いずれも仕上塗材でした。
・体育館外壁 柱型
・体育館外壁 根廻り
・図工室 柱型
試料採取の流れに沿って現場レポートをお届けします!
① 道具の準備・保護具の着用
試料採取に使用する道具を準備します。また、採取する試料にアスベストが含有している可能性があるため、必ず防塵マスク、手袋等の保護具を着用します。
使用する道具(一例):上段左から 防塵マスク、紙ワイパー、手袋 下段左から チャックつきビニール袋、カッターナイフ、ドライバー、ペンチ、スクレーパー、ハンマー、湿潤材・飛散防止剤
② ほこりの除去
ほこりがあると、分析の際にアスベストに誤認してしまう恐れがあるそうです。そのため、採取前にはけで掃除をします。
③ 建材の採取
協議で決まった採取箇所をビニール袋で養生し、1建材につき3か所からハンマーで採取します。なるべく目立たない位置から採取するため、今回はどの建材も足元部分から採取しました。
試料採取状況
採取する試料は、上塗り材・主材・下地調整材の3層構造となっています。各層を分析するため、3層全てが採取出来ている必要があります。採取した試料を見ると、層ごとに色が異なるのがわかります。
採取した試料
④ 梱包
採取した試料は、採取箇所ごとにチャックつきビニール袋に2重に密閉します。ビニール袋には建材名や採取箇所を記入しておきます。
⑤ 簡易補修
採取跡からのアスベストの飛散や建材の破損を防ぐため、採取跡の簡易補修を行います。今回使用した補修材は1時間程度で固まるものだそうです。
補修状況
⑥ 道具の清掃
採取した試料が次の採取場所の試料と混ざるのを防ぐために、1か所採取が終わるごとに使った道具を清掃します。
道具の清掃
⑦ 次の採取場所へ
今回は採取場所が3か所ありましたので、この作業を3か所で行いました。現場が小学校だったため、作業可能な時間は授業中の1時間のみ。とても手際が良く素早い作業に驚きました。
採取した試料は、このあと室内分析でアスベスト含有の有無を確認することになります。
さいごに
今回は、環境部のアスベスト調査の現場に同行させていただきました。現場を案内してくださったのは、環境部の西澤さんです。お忙しい中、ありがとうございました。
▼ 技術員のご紹介
西澤さん(環境部)
2020年に土木管理総合試験所に入社。一般建築物石綿含有建材調査者(第21051091号)の資格を持ち、多くの現場で活躍中の技術員です。
アスベストの事前調査は2021年に義務化され、ますます注目度が高まっています。土木管理総合試験所では、第1スクリーニングから第2スクリーニングまでワンストップで対応可能です。資格者による調査も対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
関連リンク集
▼環境部 アスベスト調査 詳細情報
▼「アスベストセミナー 〜2021年4月施行 事前調査について〜」セミナーアーカイブ配信
▼「法改正によるアスベスト事前調査と石綿事前調査結果報告システムについて~2022年4月石綿事前調査結果の届出義務化スタート!~」セミナーアーカイブ配信