1.堤防開削調査の目的

目的

河川堤防は治水に際して都度様々な改修がなされ、非常に複雑な歴史的構造物です。
堤防開削調査は、樋門や樋管の築造の際に既存堤防の開削が行われるにあたり、堤防の内部構造を確認する機会となり、堤防築堤履歴の解明、質的向上に資する事を目的に行われます。


2.調査の流れ

調査のために開削する事は殆ど無く、工事の際に特記仕様などに記載され、元請会社様からの依頼によって実施することが大半です。
調査方法は「河川堤防開削時の調査マニュアル H23.3(国土交通省河川局治水課)」に基づいています。
沼津河川国道事務所発注の「令和2年度 狩野川中流部河川整備工事」での事例をご紹介します。

①開削断面の観察

堤体構造を把握するため、開削のリ面における土質分布、混入物および空洞、亀裂など変状状況を観察スケッチ、写真撮影し記録します。

1.開削されたのり面に親綱を降ろし、ロリップなど使い降下しながら観察面を整形。
 この作業には「ロープ高所作業の業務」に関する特別教育を修了することが義務付けられています。

2.堤防開削された断面に1mメッシュのグリッドを張り、観察スケッチ。

  • ポイント1 粘土・砂・礫がどのように分布しているのか?
  • ポイント2 腹付けや、嵩上げなど築堤の履歴を示すものはあるか?
  • ポイント3 空洞や緩み、亀裂など水みちとなる変状は存在するか?

3.調査は上流・下流ともに行い断面スケッチに起こす。

断面にメッシュのグリッド設置
観察面の整形によって築堤境界を露出させる
上下流側ともに土質断面図を作成と写真撮影をする

②原位置試験

原位置試験は土のバラつきを把握する事を目的に行います。同じ土層であってもその性状は締固め度合いや風化により大きく異なり、土壌硬度はメッシュの交点、現場密度試験は各土層にて行います。

グリッド交点全てに山中式土壌硬度を実施
土層ごとに現場密度試験を実施

③室内土質試験

試料は「乱した試料」と「乱さない試料」があり、それぞれ利用目的は異なるものの、観察や土質試験の実施をするため試料をサンプリングします。
礫分の有無や土の固結状態によって「乱さない試料」の採取が困難な場合は、現場密度試験による湿潤密度の結果を基に供試体作成を行い室内土質試験を行います。

室内土質試験の一例
現場によって調査範囲や試験項目・数量が全て変わりますので当社までご相談ください。

項目

備考 上流 下流
グリッド設置  
スケッチ・写真撮影

斜面積より算出

○○㎡ ○○㎡
現場密度試験 全ての土質 ○箇所 ○箇所
土壌硬度の測定 グリッド交点 ○○箇所 ○○箇所
室内土質試験用 試料採取   ○箇所 ○箇所
土の含水比試験   ○試料 ○試料
土粒子の密度試験   ○試料 ○試料
土の粒度試験   ○試料 ○試料
土の液性限界・塑性限界試験   ○試料 ○試料
土の締固め試験   ○試料 ○試料
土の透水試験   ○試料 ○試料
三軸圧縮試験○○法 土質により選択 ○試料 ○試料

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樋門・樋管工事に付帯する事が多いため
該当する工事ご担当者様からのご相談をお待ちしております












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