アルカリシリカ反応(ASR)試験

長寿命化補修設計/対策工事に必要なコンクリートの耐久性低下要因分析と対策

コンクリート構造物は、土木・建築を問わず、疲労・中性化・塩害・凍害・化学的侵食といったさまざまな要因によって、ひび割れや変形、劣化が生じます。これらの劣化は構造物が置かれている環境に大きく左右され、例えば海岸付近では塩害、寒冷地では凍結融解による凍害、酸性の温泉地周辺では化学的侵食が発生しやすくなります。

また、使用する砂や石によってはアルカリシリカ反応(ASR)という劣化を生じ、内部からの異常膨張やひび割れを引き起こす場合があります。複数の劣化が同時に生じることで、その劣化の速度が早まります。


アルカリシリカ反応(ASR)とは

アルカリシリカ反応(ASR:Alkali Silica Reaction)とは、コンクリート中のアルカリ性成分とアルカリに溶解反応を示す骨材中の有害物質の反応であり、高濃度のシリカ(SiO2)がゲル状物質に変化し、ゲルが吸水することで異常膨張やひび割れが発生し、コンクリートの耐久性低下を招く恐れがあります。全国的に発生が確認されているコンクリート劣化原因の代表例となっています。

▲ アルカリシリカ反応(ASR)による
劣化事例

当社では、各種試験を組み合わせてアルカリシリカ反応を起こす物質を検知し、補修設計等で必要なデータ提供から、適切な維持・補修・抑制防止対策等の工法のご提案までワンストップサービスを提供しています。


1.アルカリシリカ反応試験方法

アルカリシリカ反応に関連する試験としてASR簡易判定試験や電子顕微鏡を用いた反応性骨材・鉱物の形態観察・定性分析、促進膨張試験などを行います。

 調査項目 試験内容

ASR簡易判定試験

  • ゲルステイン法
促進膨張試験
  • アルカリ溶液浸漬法(カナダ法) 
  • 飽和NaCl溶液浸漬法(デンマーク法) 
  • JCI-S-011(JCI-DD2)
反応性鉱物や生成物の確認試験
  • 走査型電子顕微鏡観察 
  • EDSによるスペクトル分析

ASR簡易判定試験

ゲルステイン法は、コンクリートコアやコンクリート片におけるアルカリシリカゲルの有無および分布を、専用の試薬を塗布することで簡易かつ迅速に判定できる試験方法です。
現場や室内の通常光下でも数時間以内に結果を得ることができ、微小領域での反応検出も可能なため、ASRの早期発見や調査コストの低減に有効です。

なお、ゲルステイン法のみでアルカリシリカ反応を確定することは難しく、スクリーニング(一次判定)試験として位置付けられます。そのため、促進膨張試験やSEM-EDS法など、より詳細な分析試験に先立つ補足的試験としての活用が推奨されます。


促進膨張試験

コンクリート構造物から採取したコアを一定の条件下で促進養生することで潜在的な膨張量を測定し、今後の劣化進行の度合いを予測する試験です。
促進膨張試験には、アルカリ溶液浸漬法、飽和NaCl溶液浸漬法、JCI-S-011を用います。

試験方法 養生条件     

測定
期間  

アルカリ溶液浸漬法(カナダ法) 80℃
NaOH溶液  
4週
 飽和NaCl溶液浸漬法(デンマーク法) 50℃
NaCl溶液 
13週
JCI-S-011
(JCI-DD2)
40℃
湿度95%以上 
26週

反応性鉱物や生成物の確認試験

走査型電子顕微鏡(SEM)は、試料に電子線を照射して得られた二次電子を画像に変換することで試料表面の状態を観察できます。さらに、金蒸着などを用いて試料表面の導通を確保するなど条件をそろえた場合には、試料表面の画像を数万倍に拡大してμmオーダーで微小領域を観察することが可能となります。
また、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いれば、試料から得られた特性X線情報から元素の種類や構成比率の情報を得ることができ、元素の分布図(元素マッピング)を作成することも可能です。

これらの化学技術を応用し、構造物に生じている析出物をSEM-EDSで形態観察・定性分析することにより、セメント水和物とエフロレッセンス、アルカリシリカゲルを判別するのに有効な情報を得ることが可能です。このことからSEM-EDSは、アルカリシリカ反応を生じていると考えられる構造物の診断に有効です。
また、構造物に生じたひび割れ等の外観観察のみでは判別が難しいアルカリシリカ反応とエトリンガイトの遅延生成(DEF)も、反応生成物をSEM-EDSで観察・分析することによって判別しやすくなると考えられます。

コンクリートから析出する物質全般について、現地観察と成分検査から何なのか特定することも可能です。
SEM-EDS以外にXRFやXRDも保有しているので成分全般の分析が可能です。 例として、ひび割れから茶色の物質が析出しているが、土砂なのか鉄さびなのかなどの分析も可能です。
鉄さびの場合、地山の鉄分が少なければコンクリート内の鉄筋が錆びているなどリスク定義もできます。

※XRF:蛍光X線分析 XRD:粉末X線回折

▼ SEMによる二次電子画像

エトリンガイト
アルカリシリカゲル

▼ EDSによるスペクトル分析結果

エトリンガイト 

アルカリシリカゲル


2.今後の進行性分析・補修工事まで一貫サポート

当社では、アルカリシリカ反応(ASR)試験を通じて、アルカリシリカ反応を引き起こす物質の検出だけでなく、今後の進行性についても分析・シミュレーションを行います。試験結果をもとに、対策立案や改良工事・処置など最適な対応方法をご提案いたします。
また、止水工事・抑止工事・ハツリや断面修復工事の施工にも対応しており、全国どこでも対応可能です。

調査から補修まで、必要に応じて幅広くサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。


3.よくあるご質問と回答(FAQ)

コンクリート表面のひび割れにエフロレッセンスが認められるが、アルカリシリカ反応によるものですか。


※エフロレッセンス:「セメント成分を含む下地材に発生する特有の汚染現象」です。 セメントを主成分とする目地モルタルに含まれる余剰のカルシウム成分が、ひび割れ・隙間などから浸入した雨水に溶け、水酸化カルシウムとして染み上がります。

ひび割れから析出した遊離石灰が炭酸化した性状として認められる場合が多く、ひび割れ中のゲルの有無を確認し、アルカリシリカ反応によるものであるかをSEM-EDSを用いて検討する必要があります。

SEM-EDS:走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は、試料の表面状況を低倍率から高倍率まで連続的に観察できる優れた顕微鏡です。エネルギー分散型X線分析装置(EDS:Energy dispersive X-ray spectrometry)と組み合わせて特性X線を検出することにより、特定箇所の元素分析がおこなえます。

試料の採取は現場の技術者でもできますか。

採取作業によって試料が汚染(コンタミネーション)されることがあることから、SEMの知識のある技術者が採取することが望ましいです。

試料の大きさはどの程度が必要ですか。

採取したコアのひび割れ部を観察して分析箇所を選定することからφ30mm程度が望ましいです。φ30mm以下の試料や小さな粉体でも分析の対応は可能です。

分析にはどのくらいの日数が必要ですか。

乾燥→試料作製で約1週間程度かかります。報告書の提出が必要な場合は、最短2週程度となります。














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