コンクリート構造物は、土木・建築を問わず、疲労・中性化・塩害・凍害・化学的侵食といったさまざまな要因によって、ひび割れや変形、劣化が生じます。これらの劣化は構造物が置かれている環境に大きく左右され、例えば海岸付近では塩害、寒冷地では凍結融解による凍害、酸性の温泉地周辺では化学的侵食が発生しやすくなります。
塩害は、鉄筋腐食を引き起こし、ひび割れや剥離などの深刻な劣化を招く要因となります。アルカリシリカ反応と並び、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を著しく低下させる代表的な劣化現象の一つです。
塩害調査とは、コンクリート構造物に侵入した塩化物イオン量の分析や外観変状調査などを行うことで、塩害による影響を評価するための調査です。
塩害とは、コンクリート中に存在する塩化物イオン(Cl-)の影響により、鉄筋などの鋼材腐食が促進される劣化現象を指します。
塩化物イオンは、沿岸部での飛来塩分や冬季間の凍結防止剤(塩化カルシウムや塩化ナトリウム)に代表される外的要因によってコンクリート内部に侵入する場合と、海砂や塩化物を含む混和剤の使用により、コンクリート材料に内包される塩分として存在する場合があります。
塩害を受けた構造物
塩化物イオンによって鋼材が腐食すると、腐食生成物の体積膨張によりコンクリートにひび割れや剥離が生じ、さらに鋼材断面の減少を伴うことで、構造物の耐久性や安全性が低下するおそれがあります。
当社では、外観変状調査から塩化物含有量試験まで一貫して対応し、調査結果に基づく構造物の現状評価と、今後の対策・補修検討を支援しています。
コンクリート構造物における塩害の有無や進行具合を確認できます。これにより、塩分の浸透度やその影響を把握できます
鉄筋の腐食による強度低下を評価し、構造物の耐久性への影響を見極めることで、今後の劣化などの将来的なリスクを予測できます
必要な補修や補強工事の範囲と方法を決定し、適切な補修策を講じることで、構造物の長期的な耐久性や安全性を確保することができます

コンクリートの塩害調査・分析では、現地で外観や鉄筋の腐食状況を確認し、必要な試料を採取する現場調査から始まります。次に、試験室にて塩化物イオン量の分析を行います。
得られた結果をもとに評価・検討を行い、必要かつ適切な対策を導き出します。
コンクリート専門技術者が、目視・打音(たたき)・非破壊試験を用いて浮きや剥離の範囲などを確認し、構造物の外観変状を調査します。
ドリル紛の採取
コンクリート構造物の代表的な箇所から、コンクリートコア、ドリル紛、はつり片などを採取し、試験・分析用の試料として使用します。
JSCE-E-601 コンクリート構造物における自然電位測定法に基づき、コンクリート構造物中の鋼材(鉄筋など)の調査時点での腐食の可能性を、鋼材表面の電位から測定する方法です。鉄筋を一部はつり出し、電気を流すことで、構造物を破壊せずに腐食箇所を調べることが可能です。
コンクリート構造物中の鋼材(鉄筋など)の、腐食速度(腐食電流密度)と反比例する分極抵抗を求めることで、腐食の速度が推定できる方法です。この方法は、腐食劣化の初期段階において有効だとされています。

自然電位法による調査

JIS A 1154「硬化コンクリート中に含まれる 塩化物イオンの試験方法」に準拠した電位差滴定法などを用いて、コンクリート中の塩化物イオン濃度を測定します。
測定結果から、採取した深度ごと(約20mmごと)の塩化物イオン量やその分布状況などが把握できます。さらに、この測定データを活用することで、鋼材の腐食環境や塩化物イオンの拡散予測など劣化予測につなげることが可能です。
試験方法として電位差滴定法、迅速法、蛍光X線分析法、EPMAマッピングなどが挙げられます。
| 名称 | 測定原理 | 分析の特徴 |
| 電位差滴定法 | 試料溶液の電気化学測定 | コアやはつり片などの試料形態に依存せず、最も一般的で広く使われる試験方法 |
| 迅速法 | 試料溶液の電気化学測定 | 現場で迅速に分析可能 |
| 蛍光X線分析法 | X線による分光分析 | 薬品を使用せず、環境への負荷が少なく、比較的短時間で分析できる |
| EPMAマッピング | 電子線による元素分析 |
数μmオーダーでの測定が可能で、視覚的に分かりやすい面分析に加え、任意の深度方向における塩化物イオンの分布状況も把握できる |

当社では、電位差滴定による硝酸銀滴定法や蛍光X線分析法などで塩化物イオン量の分析を行っています。
電位差滴定による硝酸銀滴定法は、JIS A 1154 に基づいた信頼性の高い試験方法であり、塩化物イオン量の評価に広く活用されています。
一方、蛍光X線分析法では、ポータブル蛍光X線分析装置を用いることで、現場での非破壊調査や採取試料を用いた微破壊調査の両方が可能です。既設構造物への影響を最小限に抑えつつ、迅速かつ費用を抑えた代替手法としてご利用いただけます。
精度や用途、コスト、現場状況などの観点から蛍光X線分析法を採用した分析事例をご提案いたします。
蛍光X線分析法を採用した分析例
| 抱える課題・ニーズ | 解決策 | 分析手法 |
| 調査コスト・時間の圧縮 | 採取試料により迅速に塩化物イオン量の分析を実施する。 | 蛍光X線(室内) |
| サンプルを損傷させず、調査コスト・時間の圧縮 | 非破壊で構造物表面の塩化物イオン量の分析を迅速に実施する。 | 蛍光X線(現場) |
| JIS法(公定法)との整合性が必要 | 電位差滴定法との併用により、迅速かつ低コストで信頼性の高い塩化物イオン量の分析を実現する。 |
蛍光X線(室内)+電位差滴定(室内) |
| 採取箇所の選定が難しく、工期短縮と品質確保の両立が課題 |
現場ではポータブル蛍光X線分析装置を用いて採取位置を選定し、採取箇所確定後に信頼性の高い精密分析を実施する。 ※調査マッピングは別途対応となります。 |
蛍光X線(現場)+電位差滴定(室内) |
※上記は代表的な分析例です。目的・ご要望に合わせて最適な分析方法をご提案させていただきます。ぜひご相談ください。
コンクリート中に含有する塩化物イオン量が一定値※を超える場合や、鋼材の腐食の状況などからコンクリート構造物の今後の劣化予測ができるため、コンクリート構造物の補修設計によく使用されています。
さらに、調査結果は塩害要因の抽出、または劣化の進行過程の評価などにも活用されます。
※ 出典により異なりますが、一般的には1.2 kg/m³とされています。
詳細調査の結果、対策が必要と判定された場合には、
当社では、経験豊富な技術士、コンクリート診断士、コンクリート構造診断士、コンクリート主任技士などの専門技術者がチームを組み、対策の検討を行います。
劣化要因や劣化レベルに応じて、下記工法より最適な補修・補強対策を講じます。
また、当社しかできない調査アプローチや補修設計法もあります。
塩害調査・対策に関することは、ぜひ当社にお任せください。
工法 | 解説 |
表面被覆工 | コンクリート表面に被覆材を塗布することで、表面を保護し塩害の原因となる水分・塩分を遮断する工法。 |
表面含浸工 | コンクリート表面に含浸材を浸透させることで、塩害の原因となる水分・塩分の浸透を抑制するとともに耐久性などの性能を向上させる工法。 |
断面修復工 | コンクリート断面の劣化損傷部・塩分浸透部をはつり除去し、補修・再生する工法。劣化機構にかかわらず様々な劣化損傷に広く適用される。 |
脱塩工法 (電気化学的補修工法) | コンクリート中の塩化物イオンを非破壊で除去または低減する電気化学的補修工法。内部鉄筋を陰極、コンクリート表面を陽極として直流電流を一定期間流すことで、塩化物イオンをコンクリート表面へ電気泳動させ、コンクリート中から外部へ排出する工法。 当社ではLCC(ライフサイクルコスト)や他工法との比較検討を行い、調査結果に基づいて最適な工法選定および補修計画を提案できます。 |
ひび割れ補修工 | コンクリート構造物に発生したひび割れ内部に樹脂やセメント系材料を注入充填し、空隙を埋める工法。 |

表面含浸工

ひび割れ補修工(充填工)

断面修復工

ひび割れ補修工(注入工)
高度経済成長期に集中的に整備されたコンクリート構造物は急速な劣化が進むと予測され、インフラメンテナンスが早急に求められています。
当社では、コンクリートの塩害調査・分析において、現場調査から必要な試験・分析までを実施し、その結果に基づいた適切な対策のご提案、さらに必要に応じた補修施工まで、一貫して対応可能です。
北海道から沖縄までの全国ネットワークで対応していますので、塩害調査・分析に関するお困りごとについて、お気軽にご相談ください。

土木構造物劣化診断・老朽化調査において塩害調査・分析だけでなく当社ではアルカリシリカ反応(ASR)試験、凍害調査、中性化試験などの各種コンクリート試験や調査により、補修設計等で必要なデータを提供いたします。
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