【ブログ】現場体験取材4~表層透気試験編~
現場体験取材シリーズでは、当社の様々な現場を取材・紹介しています。
第4回となる今回は、社会基盤マネジメント部の「表層透気試験」の現場に行ってきました。
トレント法によるコンクリートの表層透気試験とは?
表層透気試験とは、構造物の耐久性を評価する非破壊試験です。
試験は、コンクリート表層の透気係数(空気の通しにくさ)を測定・算出し「密実性」「緻密性」を評価します。
コンクリートの密実性・緻密性が低い場合、そこからコンクリート内部に劣化因子が侵入し、構造物の耐久性に大きな影響を及ぼすといわれています。
そのため、構造物の長寿命化が求められる昨今において、コンクリートの表層品質(密実性・緻密性)への関心は高まっています。
東北地方整備局が策定した「コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)(橋脚、橋台、函渠、擁壁編)」では、現場打ちの橋脚、橋台、函渠及び擁壁を対象に養生の効果を把握するため、表層透気試験や表面吸水試験で密実性・緻密性の評価を行うことが望ましいと記載され、目安となる値も示されています。
コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)(橋脚、橋台、函渠、擁壁編)2023年改訂版 国土交通省 東北地方整備局
試験機器について
当社では、エフティーエス社の透気試験機「パーマトール」により試験を実施しています。
パーマトールは、二重構造のチャンバーセル、真空装置、制御盤から構成されています。
チャンバー内の空気を吸い上げてコンクリートに負圧をかけた状態から、その圧力が一定量回復するまでの時間を測定することにより透気係数を算出します。
▲ 透気試験機「パーマトール」
現場レポート
今回の現場は、橋脚のフーチングです。
表層透気試験は、実施数量に関する決まりはありませんが、今回は1リフトにつき各3箇所を3リフトで実施しました。数量は、事前に施工計画書を作成し、協議により決定するそうです。
それでは、試験の流れに沿って現場レポートをお届けします!
① 試験機のセッティング
パーマトールのチャンバーセル、真空装置、制御盤をエアホースで繋ぎ、アダプタで電源に接続します。 今回は測定位置に電源がなかったため、発電機を使用しました。
▲ パーマトールのセッティングの様子
② コンディショニング
セッティングが完了したら、電源を入れてコンディショニングを行います。コンディショニングは暖機運転のことで、パーマトールでは20分間実施します。
③ キャリブレーション
コンディショニング後、キャリブレーションプレート(アクリル板)を用いてキャリブレーションを行います。キャリブレーションは、機器が正しい値を測定できるように調整する作業のことで、パーマトールでは11分間を2回実施します。1回目と2回目の数値を比較し、誤差が一定の範囲内におさまることを確認します。
④ 含水率の測定
試験結果は含水率に影響を受けるため、試験前に試験位置の含水率を測定しコンクリート内部の水分状態を確認します。 降雨により含水率が高くなることがあるので、雨天時の試験は避けるそうです。
また、試験位置の表面に凹凸や打重ね線があるような位置ではデータが上手く取得できないため、試験位置選定の際には注意する必要があります。
▲ 含水率の測定状況
⑤ 透気係数の測定
パーマトールの調整および試験位置の状態に問題がなければ、チャンバーセルをコンクリートに直角に当て、測定開始ボタンを押します。チャンバーセル内が徐々に真空状態になり、1箇所につき6分で透気係数が測定されます。
パーマトールによる透気係数測定後、下記5段階により評価を行います。
▼ 表層透気係数によるグレーディングの目安(コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)(橋脚、橋台、函渠、擁壁編)2023年改訂版 国土交通省 東北地方整備局 P.42 )
透気係数 kT (×10-16m2) |
優 |
良 |
一般 |
劣 |
極劣 |
0.001~0.01 |
0.01~0.1 |
0.1~1 |
1~10 |
10~100 |
▲ 透気係数の測定状況
⑥ 次の試験位置へ
測定した透気係数を記録し、次の試験位置へ移動します。残りの試験位置でも、④ 含水率の測定、⑤ 透気係数と同様の作業を行いました。
▲ パーマトールの制御盤に表示される試験結果
さいごに
今回は、社会基盤マネジメント部の表層透気試験の現場に同行しました。フーチングという構造物を支える重要な基礎部分の品質に関わる試験を見ることができ、大変貴重な経験になりました。
現場を案内してくださったのは、社会基盤マネジメント部の奥村さんです。
ご丁寧に教えてくださり、ありがとうございました。
▲ 社会基盤マネジメント部 奥村さん
今回の現場では、表層透気試験のほかに強度試験も行いました。
▲ 弾性波試験の実施状況
当社では、様々な試験・調査を承っております。
お打合せ、お見積、ご提案まで対応いたしますので、お気軽にご相談ください。