コンクリート構造物の品質管理試験

新設コンクリート構造物の施工前・施工中・施工後の品質管理試験を提供します

コンクリートの品質管理試験とは

建築分野や土木分野、目的や用途、仕様などによりコンクリートに求められる要求性能は異なります。
コンクリートの品質管理とは、コンクリートの強度、耐久性、耐熱性、耐水性などのコンクリート構造物の品質を確保するためのものです。
これらの品質を確保するために施工前・施工中・施工後の段階で必要かつ適切な調査等を提供します。
※ 建設に使用する資材の各種室内試験についてはメタル・コンクリート室内試験に整理しています。


1. 施工前に必要な品質試験

生コンの品質管理

施工時のフレッシュコンクリートは、半製品であり荷卸し時に所定の品質性状を有し、硬化後に所定の強度を有することが求められています。
国土交通省などの基準に基づき生コンクリート荷卸し時ならびに硬化後に品質確認試験を実施して、製品品質を確認します。

試験項目

  • スランプおよびスランプフロー試験
  • 空気量試験
  • 生コンクリート中の塩化物含有量測定
  • 生コンクリート中の単位水量測定

  • 圧縮強度試験・曲げ強度試験


コンクリート打設手順を管理するための温度応力解析

温度応力解析とは、マスコンクリート(部材厚や体積の大きいコンクリート)で発生しやすい温度ひび割れを事前に予測し、対策を検討するために行う解析です。コンクリート示方書では初期ひび割れの照査を義務付けており、温度ひび割れの発生が懸念される場合(壁部材の場合厚さ50cm以上、スラブの場合厚さ80cm以上)にはほぼ確実に温度応力解析を行う必要があります。

設計段階では、温度ひび割れ対策の効果や妥当性を確認し、有用なひび割れ対策をご提案します。
施工段階では、計画や工程に沿った事前検討を行い、現況での温度ひび割れリスク評価や各種対策での対策過不足の評価を行います。


2. 施工後(竣工前)に実施する試験

コンクリート強度計測

国土交通省通達の「微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定試行要領」に従って測定を行います。
測定者はソフトコアリング協会及び(独)土木研究所による講習会の修了者が従事します。


ボス供試体によるコンクリート強度測定(微破壊試験)

本試験は、新設の構造体コンクリート(フーチング部)に用いられる試験です。構造体コンクリートと一体成形された供試体(ボス供試体)により強度を測定する試験となっています。

ボス供試体とは、構造体コンクリート打設前の型枠にボス型枠を取り付けておき、構造体コンクリートを打設するとボス型枠にも同時にコンクリートが充填され、一体成形される直方体の供試体のことです。

※ボス供試体(BOSS):Broken Off Specimens by Splitting

仕様書・試験規格

  • 微破壊・非破壊試験によるコンクリートの強度測定を用いた品質管理について【通達】(国官技第44号 H30.10.24 国土交通省大臣官房技術調査課長)
  • 微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領 H30.10(国土交通省大臣官房技術調査課)
  • ボス供試体による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)2006.5(2009.7修正)(独)土木研究所,戸田建設株式会社
  • ボス供試体の作成方法及び圧縮試験方法(NDIS 3424 (社)日本非破壊検査協会)
ボス型枠設置状況
  
ボス供試体

小径コア試験

小径コアによるコンクリート強度測定(微破壊試験)

「小径コア」とは、一般的にφ25(直径25mm)前後のコアを指します。

コンクリート構造物の各種調査に用いられる方法として、構造物から採取したコンクリート供試体(コア)による試験が挙げられます。強度を知るための圧縮強度試験、鉄筋の腐食状況を推定するための中性化試験・塩化物含有量試験等、コンクリートコアから得られる情報は多岐に渡りますが、このときに用いられるコアはφ100(直径100mm)が一般的です。

しかし、φ100のコアは構造物に与える損傷度合いが大きく、補修も手間がかかり、補修後の美観も損なわれることがあります。また、構造物中の鉄筋が密である場合にはφ100のコアを採取することが困難な場合もあります。そのような場合は、小径コアによる試験が推奨されています。


衝撃弾性波による圧縮強度推定試験 表面2点法(非破壊試験)

衝撃弾性波試験とは衝撃弾性波の伝播速度(弾性波速度)に基づく構造体コンクリートの圧縮強度推定試験です。つまり橋台、橋脚等の構造物でコンクリートの衝撃弾性波速度を測定し、そこから圧縮強度を推定する試験です。

コンクリート弾性波速度は、表面の2点間を伝播する衝撃弾性波の到達時間差と測定距離から算出します。この方法を表面2点法による弾性波速度測定方法と言います。得られた構造体コンクリートの弾性波速度を室内試験(構造体コンクリートと同じコンクリートを用いた円柱供試体の圧縮強度試験および弾性波速度測定)により作成した圧縮強度推定式に代入することで、推定圧縮強度が算出されます。

衝撃弾性波試験

仕様書・試験規格

  • 微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領[H30.10月 国土交通省大臣官房技術調査課]
  • 微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領(解説)[H30.10月 国土交通省大臣官房技術調査課]
  • 衝撃弾性波試験(仮称)表面2点法による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)[H22. 修正]

超音波試験(土研法)
超音波速度測定状況(室内試験)
超音波試験(土研法)
超音波速度測定状況(実構造物)

超音波による圧縮強度推定試験 土研法試験(非破壊試験)

超音波試験とはコンクリートの音速から強度を推定する方法です。一般にコンクリートの表面の品質は低いので音速は遅く、内部ほど品質が良くなるため音速は速くなり、次第に一定値に収束するような分布になっています。

強度を推定するためには音速分布を推定し、内部の一定になった音速(内部一定音速)を求める必要があります。音速分布は探触子間隔を変化させながら伝搬時間を測定する方法(表面走査法)によって推定します。得られた内部一定音速を室内試験(構造体コンクリートと同じコンクリートを用いた円柱供試体の圧縮強度試験および音速測定)により作成した圧縮強度推定式に代入することで、推定圧縮強度が算出されます。 

仕様書・試験規格

  • 微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領
    [H30.10月 国土交通省大臣官房技術調査課]

  • 微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領(解説)
    [H30.10月 国土交通省大臣官房技術調査課]

  • 超音波試験(土研法)による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)
    [H21. 修正 (独)土木研究所]


テストハンマー試験

テストハンマー試験はテストハンマー強度試験とも呼ばれ、アルファハンマー及びシュミットハンマーによる反発度からコンクリートの強度を推定する試験です。

仕様書・試験規格

[土木関係]

  • 土木学会 JSCE-G504 硬化コンクリートのテストハンマー強度の試験方法 (案) 2013年11月 コンクリート標準示方書[基準編]
  • 国土交通省 テストハンマーによる強度推定調査の6つのポイント H13年12月20日 土木研究所

[建築関係]

  • 日本建築学会 コンクリート強度推定のための非破壊試験方法マニュアル 1983年2月
  • (社)日本建築士事務所協会連合会 既存建築物 耐震診断の業務手引き 1996年

[その他]

  • 日本材料学会 シュミットハンマーによる実施コンクリートの圧縮強度判定方法指針(案) 1958年
  • JIS A 1155 コンクリートの反発度の測定方法
  • 富士物産 シュミット コンクリート テストハンマー取扱説明書
  • 亀倉精機株式会社 αハンマー 取扱説明書
テストハンマー試験
αハンマー
テストハンマー試験
デジシュミット 2000ND 型
テストハンマー試験
シュミットハンマーNR 型

コンクリートのひび割れ|浮き調査

コンクリートひび割れ調査
経過のモニタリング

ひび割れ幅・深さをクラックスケール等を用いて調査します。
また、経過的な観測についてはセンサを用いて変異測定(拡大や収束)などを遠隔でデータを収集し観測するサービスを提供しています。


ひび割れトータルソリューション
調査から施工までコンクリートのひび割れに対応

ひび割れが発生しているコンクリート構造物について、コンクリートプラント技術者やコンクリート診断専門家等のチームでトータルサービスを提供しております。
お困りの際はお問合せください。

1.【ひび割れ調査】
目視観察、深さ測定、計測器による経過観察

2.【ひび割れ診断】
発生原因の推定、補修要否の評価、判定、補修工法の提案

3.【ひび割れ補修工事】
表面被覆工法、注入工法、充填工法等

ひび割れトータルソリューション 調査から施工までコンクリートのひび割れに対応

コンクリートの浮き剥離調査

コンクリート部材、附属物(ボルト等)、タイルなどの表面をハンマーで叩き、音の違い(清音・濁音)で浮き・剥離箇所を特定します。当社では打音波形をAIに学習させ異常判定させるツールにより自動記録や人による検知の違いを減少させるサービスも提供しています。


超音波アレイセンサーによるひび割れ深さ|版厚調査

コンクリート用の超音波試験機として広く普及しているパンジットは、一組の送受信探触子を用いて、伝播時間からひび割れ深さやコンクリートの品質評価を行います。

このアレイ型パンジットは送受信探触子を複数配置することで、数値的な測定結果のみならず、断面画像として視覚的にコンクリート内部を確認することが可能です。
電磁波レーダ探査による断面画像と併用することで、コンクリート内部の状況を総合的に推定することができます。


コンクリートの施工品質管理

表層透気試験(トレント法)

表層透気試験とは、コンクリート表面にチャンバーを設置して減圧することにより、内部の気圧変化から透気係数を算出し、コンクリート表面の密実性や改質材・含侵材を評価することを目的とする試験です。

仕様書・試験規格

コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)(橋脚、橋台、函渠)平成31年3月 国土交通省 東北地方整備局


表面吸水試験(SWAT)

表面吸水試験(SWAT)

コンクリート構造物の耐久性を評価するため、コンクリート表面の吸水速度を測定します。吸水速度が小さいほどコンクリート表面が緻密で、劣化因子が進入しにくい状態と言えます。

仕様書・試験規格

  • コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)(橋脚,橋台,函渠,擁壁編) 国土交通省 東北地方整備局 平成27年12月
  • コンクリート表面吸水試験装置取扱説明書   株式会社丸東製作所
  • 表面吸水試験装置(自動タイプ)取扱説明書 横浜国立大学(2012年11月14日改定)

X線によるグラウト充填確認

X線撮影によりプレストレストコンクリート部材のシース内のグラウト充填状況を確認します。(適用可能厚さ 最大30cm)

※X線撮影技術はコンクリート壁や床板に削孔する場合に配筋や配管等の配管状況を確認することが可能です。

X線によるグラウト充填確認

配筋状態及びかぶり測定

国土交通省通達の「非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶり測定要領」に従って測定を行います。
測定は配筋探査技術者の資格を有する者が従事します。












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