国土交通省は、2021年(令和3年)静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことや、危険な盛土等に関する法律による規制が必ずしも十分でないエリアが存在していること等を踏まえ、「宅地造成等規制法」を抜本的に改正され、盛土等による災害から国民の生命・身体を守ることを目的として、「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)」(以下、盛土規制法)が新たに施行されました。盛土規制法では、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制する仕組みが導入されています。
(1)スキマのない規制
都道府県知事などが、宅地・農地・森林など土地の用途にかかわらず、盛土等により人家などに被害を及ぼすおそれのある区域を規制区域として指定します。
また、農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象となります。
(2)盛土等の安全性の確保
盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準が設定されます。
さらに、許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、以下の措置が講じられます。
[1] 施工状況の定期報告
[2] 施工中の中間検査実施
[3] 工事完了時の完了検査実施
(3)責任の所在の明確化
盛土等が行われた土地について、土地所有者等に対し、安全な状態に維持する責務があることが明確にされています。
また、災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても是正措置等を命令することができます。
(4)実効性のある罰則の措置
無許可での盛土や命令違反などに対しては、罰則が抑止力として十分に機能するよう、条例による罰則の上限を超える水準(最大で懲役3年以下・罰金1,000万円以下・法人重科3億円以下)に強化されています。
盛土規制法で定める公共施設用地で行われる盛土等に関する工事は、本法の適用除外となります。
また、災害の発生のおそれがないと認められる工事は、許可不要となります。
参照:国土交通省HP「盛土規制法の概要」
規制区域内で盛土を行う場合は、あらかじめ都道府県や地方自治体の許可が必要になります。
規制区域は都道府県知事等が指定します。
お住まい地域の規制区域つきましては、各自治体ウェブサイトをご確認ください。
各自治体ウェブサイトはこちら
許可が必要となる盛土等は、右記のような行為を指し、一定規模の盛土・切土のほか、体積土が規制の対象となります。
また、規制対象となった盛土は、以下のような措置が講じられます。
都道府県や市町村が許可地の一覧を公表
工事主が周辺住民に事前周知
工事主が工事現場に標識を掲示
盛土等の災害を防止し、安全性の確保のために必要な許可基準(工事の技術的基準)が設定され、許可にあたっては、土地所有者の同意及び周辺住民への事前周知が用件化されています。
盛土等に関する工事を実施する際は、事前の許可申請から工事完了までの各段階で、以下のような手続きが必要です。
▲ 許可申請から工事完了までの流れ
盛土内に水がたまらないように排水施設を設置
崩れにくくするために締固めを実施など
土砂が流れないように地盤勾配
周囲との安全な距離を保つために、空地を確保等
参照:国土交通省HP
盛土規制法の概要
(一般向けパンフレット)盛土等による災害を防ぐための、大切なお知らせ
弊社では、盛土等の許可基準(工事の技術的基準)に関連する試験・調査を実施しています。
さらに、グループ会社の株式会社環境と開発が、用途に応じた土木設計、許可申請前の周辺住民への事前説明のサポート、行政書士と連携した許可申請手続きを提供します。
各自治体の盛土にかかる条例も含めて、全国の都道府県に合わせた対応をいたします。
工事流れ |
弊社ができること |
許可申請前 | 周辺住民への事前説明 |
許可申請・許可 ↓ 工事着手 ↓ 工事完了 |
地盤に関する試験 |
盛土構造に関する試験 | |
排水施設の確認 | |
擁壁の設計・施工に関する試験 | |
盛土の品質管理 | |
設計者としてのサポート |
許可申請前の周辺住民への事前説明のサポートをします。
▲ ボーリング調査
▲ 起工測量
施工時に生じるのり面(切土のり面、盛土のり面、掘削のり面)の崩壊や滑動のリスクを防止するため、安定性の評価を実施します。
実施する試験調査例
▲ 現地浸透試験
盛土の本施工前に試験盛土を実施することで、計画された盛土の安全性や施工方法の選定を行います。
試験盛土、本施工を行ったあとに品質管理として現場試験で確認をします。
実施する試験調査例
▲ 現場密度試験
用途に応じた土木設計はもちろんのこと、中間検査、完了検査への立ち会いも対応します。
行政書士と連携した許可申請手続きの提供します。
盛土規制法は2023年5月26日施行されましたが、危険な盛土等に対する規制は、都道府県や地方自治体が規制区域を指定した後に適用されます。そのため、今後は全国各地で順次、規制が開始される自治体が増えてくると予想されます。
現場状況に応じた試験調査を複合的にご提案しております。
全国各地対応しておりますので、盛土規制法に関する調査や手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
弊社のグループ会社である株式会社環境と開発は、廃棄物処理施設を新設・拡張する際に安全性・経済性の高い施設計画を提案、建設・廃棄物などの複数分野にわたる許認可をすばやく取得することができる建設コンサルタントです。
盛土規制法に関するコンサルティングサービスとして、用途に応じた土木設計、許可申請前の周辺住民への事前説明のサポート、および行政書士と連携した許可申請手続きをご提供しております。
建設発生土・建設残土(以下、建設残土)とは、建設工事に伴って発生する土壌や岩石を指し、多くは埋立てや盛土等に再利用されています。これらの建設残土の搬出/受入にあたっては、各自治体の土砂埋立て等の規制に関する条例(土砂条例)に基づき、受入基準や試験項目、採取方法、報告書様式などが定められています。
盛土規制法の施行を受け、今後も土砂条例の見直し・改正をする自治体が増えることが予想されます。工期遅滞を防ぐためにも、まずは各自治体に盛土規制法の規制区域なのか、土砂条例適用現場なのかなどの事前確認が必要であると考えます。
弊社では、全国の自治体や受入事業者の基準に応じた、採取・分析・報告書作成などをトータルでサポートしています。また、基準値を超過した場合の対応(搬出先の変更や汚染土壌の処分提案等)についてもご相談可能です。
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