現地浸透試験

地盤の浸透能力や飽和透水係数を知り、浸透施設の形状や種別・数量検討に活用

浸透施設はなぜ必要なの?

市街化が進むにしたがって、山林、田畑が減少しビル、一般住宅、道路などが増え、雨が土にしみ込みにくくなっています。また、舗装や排水設備の整備により、河川に流入する時間が短くなり、豪雨があると河川の水があふれ浸水被害の危険性が増加します。浸水被害を防止するために、河川改修や調整池の整備を進めることは重要であり、また、雨水を地中に浸透させたり、一時的に貯留して徐々に流すなど河川に流出する雨水をできるだけ抑制することが重要となります。
雨水抑制機能の一つの対策として雨水貯留浸透施設の整備が挙げられます。

現地浸透試験とは

浸透施設を設計するためには、地盤の浸透能力を把握することが重要です。地盤の浸透能力を過少評価した場合、浸透施設の大型化による建設コストの増加が予想されます。また、過大評価した場合は、浸透施設からオーバーフローの懸念や、浸透できなかった雨水が流出することにより流域河川への負担が増加することになるため、地盤の浸透能力を精度よく求めることは非常に重要といえます。

地盤の浸透能力を求める方法として、建築分野では大型試験孔での現地浸透試験〔社団法人雨水貯留浸透技術協会〕があります。
定常法の多くは、メスシリンダー・微量流量計・水道メーターなどの試験機を用いて単位時間ごとに人力によって注水量を調整します。さらに水位計側は、標尺や水位計が採用されます。現在このような試験方法が主流となっていますが、人為的な操作になるため取得したデータにバラつきが生じていました。

そこで当社では現地浸透試験の試験機(Power Zone Water、以下「PZ-W」)を開発し、現地浸透試験にかかわる人為的な作業を自動化することで、データのばらつきを解消し地盤の浸透能力を精度よく求めることができるようになりました。

1.試験概要

試験の概要

現地浸透試験は、「増補改訂 雨水浸透施設技術指針(案)調査・計画編」(公益社団法人 雨水貯留浸透技術協会編)に従って実施します。

 

試験方法はボアホール法及び土研法、実物実験の3種類が示されており、さらに各々で定水位と変水位による測定方法があります。

ボアホール法は地盤の鉛直方向、水平方向の平均的な地盤の浸透性が把握できる有孔塩ビ管(円筒型全面浸透)を用いて実施設の浸透量を精度よく求める試験方法です。

土研法は土質による試験の制約がなく地盤の鉛直方向の浸透性が把握できる塩ビ管(円筒型底面浸透)を用いて実施設の浸透を精度よく求める方法です。

現場状況や目的に応じて、最適な試験方法をご提案いたします。

現地浸透試験 試験法比較

試験法

ボアホール法
(定常法)

ボアホール法
(非定常法) 

土研法
(定常法)

試験施設
の概要

①直径20㎝のオーガー孔を利用

②浸透面は水面下の全面(側面と底面)

①適当な大きさのピット掘削後、直径30㎝の円筒を建込み埋め戻す

②浸透面は円筒の底面のみ

施設設置上
の得失

①土研法と較べ掘削度量が少ない

②土研法と較べ設置が多少容易

③浸透面の点検、手入れが困難

④砂礫、玉石混じり堆積層での施設設置は事実上不可能

①ボアホール法と較べ掘削土量が多い

②掘削・埋戻しがあり設置に多少時間を要す

③浸透面の丹念な点検が可能

④土質による設置上の制約はない

試験法上
の得失

①側面からの浸透もあり、地盤の鉛直方向、水平方向の平均的な浸透性が把握できる

②2水頭の試験を行うことで原理的には透水性の異方性(水平、鉛直方法での違い)が解析できる

①底面のみの浸透のため、底面設置位置での鉛直方向のみの浸透性の評価となる

②注入水が周囲埋戻し部に回り込むことがある
(浸透能力を過大評価することになる)

試験時間

2時間

2時間

2時間

試験機
適用範囲

PZ-W100、PZ-W200

PZ-W200

PZ-W100、PZ-W200

参考 増補改訂 雨水浸透施設技術指針[案]調査・計画編
より一部加筆

試験結果

試験で得られた単位時間当り浸透量と注水時間の関係から終期浸透量を求めます。
終期浸透量は、注水を継続して行うと単位時間当りの浸透量がほぼ一定値に近づくため、一定となった浸透量を終期浸透量とする場合と、2時間の注水を行っても浸透量が一定にならない場合は、2時間後の時の浸透量を終期浸透量とする場合があります。

現地浸透試験で用いた施設形状と湛水深に対応した終期浸透量をもとに飽和透水係数を算出します。算出された飽和透水係数は浸透施設の設計検討(種別・浸透施設形状・数量)に利用されます。
さらに、設計書等に透水係数の記載がある場合は、その透水係数を満足するか比較をします。


試験実績

主な発注者は民間企業様、国土交通省各地方整備局や都道府県などの行政機関様で、年間200件以上のご依頼をいただいております。

当社では、全国各地での現地浸透試験(ボアホール法・土研法)の実施から、自動浸透試験機(PZ-W)の販売を行っております。
また、現地浸透試験だけではなく、ボーリング孔を利用した透水試験、締固めた土の透水試験など土質・地質調査の様々な試験をサービスとして提供しております。お気軽にご相談ください。













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