【土質試験(室内)】
突固めによる土の締固め試験

土の締固め特性(各々の土に適した水分量や密度)を知り、土を利用した構造物の施工管理に活用

突固めによる土の締固め試験とは

土を利用した構造物(以下、土構造物)は、現地の土や搬入した土などを締固め(転圧)しながら施工されていきます。
不適切な締固めでの造成は沈下や崩壊といった大規模災害に直結するため、重要な作業工程になります。
また、土の締固めは強度・支持力・遮水性などにも影響をもたらしているため、土構造物の種類や現場条件によって多種多様な目的をもって実施されます。 しかし、現場ごとに採用する土によって土の特性が異なります。そのため、土の特性を試験で明らかにし、各現場に適した含水状態や締固め管理時の基準となる密度を決定するために「突固めによる土の締固め試験」を行います。

1.試験概要

試験の概要

突固めによる土の締固め試験は、JIS A  1210で規定され、室内環境で専用実験装置を用いて行います。

突固めによる土の締固め試験では、モールドと呼ばれる容器の中に試料土を入れ、ランマーと呼ばれる既定の重さの錘りを、規定の高さから、規定の回数で繰り返し自由落下させ、同じエネルギーを与えて締固めを行います。

試験は、試料土の含水比を少なくとも6~8段階変化させて、締固め土の「乾燥密度と含水比の関係」を求めます。

試験方法には、モールドやランマーの大きさなどの違いでA~Eの5種類が規定され、試料の準備方法の違いからa、b、cの3種類が規定されています。

試験の実施に際しては、造成される構造物や土の種類、粒径等に応じて、いずれかの試験法を選定します。


締固め方法と種類
呼び名 A B C D E
ランマ―質量(kg) 2.5 2.5 4.5 4.5 4.5
ランマ―落下高(cm) 30 30 45 45 45
モールド内径(cm) 10 15

10

15 15
モールド容量(cm3 1000 2209 1000 2209 2209
 締固め層数 3 3 5 5 3
 各層の突固め回数 25 55 25 55 92
許容最大粒径(mm) 19 37.5 19 19 37.5
試料の必要量 乾燥法
繰返し法
a 5kg 15kg 5kg 8kg 15kg
乾燥法
非繰返し法
b 3kg×組数 6kg×組数 3㎏×組数 6kg×組数

湿潤法
非繰返し法

c 3kg×組数 6kg×組数 3kg×組数 6kg×組数



乾燥密度の含水比曲線

試験結果

試験で得られた締固め土の乾燥密度を含水比に対してプロットすると、グラフでは凸型の曲線を示します。
この結果から、最も効率的に締固めることが出来る含水比が判断できます。
その時の含水比を最適含水比(wopt)、最大の密度を最大乾燥密度(ρdmax)といい、この曲線を締固め曲線といいます。

また、土粒子の密度試験を実施すると「ゼロ空気間隙曲線」(理論上とりうる最大の乾燥密度)を求めることが出来ます。
試験で得られた乾燥密度は、土粒子と水のほかに空気が含まれています。この空気量を計算上0にした乾燥密度を結んだ線が「ゼロ空気間隙曲線」です。(飽和度一定曲線とも呼ばれています)
土質にもよりますが、通常、最適含水比は、飽和度が70~95%付近となります。また、空気間隙率では、15%以下で多くは10%以下となることが多いです。このことから最適含水比の状態をイメージすることが出来ます。
※ 飽和度Srとは、間隙内(水+空気)で水が占める体積の割合


試験結果の具体的活用例

突固めによる土の締固め試験による結果は主に現場での施工管理に用いられます。
施工管理の方法も複数あり、主に①密度による施工管理、②空気間隙率・飽和度による施工管理、③工法規定方式による施工管理に分けられます。
仕様書の多くは、「粗粒土系には密度による施工管理」「細粒土系には空気間隙率管理等」を採用していますが、適用する機材や現場特性に合わせて施工ヤード全体を管理する方法もあります。

活用例①:密度による施工管理

室内締固め試験で求めた最大乾燥密度と現場で転圧が終わった乾燥密度との比によって表し、この比を締固め度(Dc値、いわゆる密度管理値)と定義し管理します。
工種によりますがDc値は90%や95%が用いられる事が多いです。

Dc値(%)=現場で測定された締固め土の乾燥密度÷締固め試験から得られた最大乾燥密度×100

活用例②:空気間隙率・飽和度による施工管理

自然含水比が著しく高い細粒土を転圧すると、密度がほとんど増加しない場合があり、このような土では、現場で所定のD値(密度管理値)を達成することが出来ません。
その場合は、空気間隙率や飽和度で施工管理を行います。
空気間隙率は、土の間隙内の空気体積の全体体積に対する割合(%)であり、飽和度は土中の間隙が水で満たされている体積の割合(%)です。
工種によりますが空気間隙率管理では10%以下、飽和度管理では85%以上など空隙の少なさを保証する管理方法として使われています。

空気間隙率(Va)=土中の空気の体積÷土の全体積×100
飽和度(Sr)=土中の水の体積÷土中の間隙の体積×100

活用例③:工法規定方式

上記①②の管理方法は直接品質を管理できる反面、現場で密度を測定するのに時間と労力を要します。
これに対し工法規定方式では、直接盛土の品質を評価することは出来ませんが、あらかじめ締固め機械の機種、まき出し厚、転圧回数等の条件を決め、現場においてこの施工法が履行されていることを確認する事により施工管理を行います。
転圧作業を丁寧に行うことにより施工ヤード全面にわたって品質を評価することが可能です。
本方式の採用に際しては、試験盛土を行い所定の品質を満足する施工を事前に決定することが必要です。


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2.関連試験

どのくらい現地で締固めができたかを調べるには「現場密度試験」を実施します。
現場密度試験とは、盛土した後の現地の土を用いて「砂置換法」や「RI計器を用いた盛土の締固め」により実際に締め固めた土の密度を求めます。
この「現場密度試験により得られた密度」と「突固めによる土の締固め試験による密度」と比較することで、どのくらい締固めが行われたか管理することができます。
「現場密度試験により得られた密度」÷「突固めによる土の締固め試験による密度」が90%以上になるように施工することが一般的です。
正式な基準値については、設計図書や各都道府県の土木工事共通仕様書(公共工事共通仕様書)などをご確認ください。

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