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【ブログ】現場体験取材8 ~崖調査編~


現場体験取材シリーズでは、当社の様々な現場を取材・紹介しています。
第8回となる今回は、「崖調査」の現場に行ってきました。

崖調査とは

毎年、台風の時期になると、線状降水帯など集中豪雨の天気予報を見かけることが多くなります。そして、土砂災害などによる痛ましい報道が後を絶ちません。
当社はどのような形でこの土砂災害の防止に関わっているのか、今回はその一つである「崖調査」を取材しました。

日本は地形が非常に多様であり、山地や海岸線が多いため、崖が多く存在します。特に日本は地震や火山活動が活発であることから、これらが崖の形成の原因と言えます。
他の国々と比較しても日本の崖の数や規模は特に多いと言えます。例えば、ヨーロッパや北アメリカの地形は比較的安定しており、断層や火山が少ないため、崖の数も少ない傾向にあります。一方、日本は地質が複雑で、多くの断層や活火山が存在するため、崖が多く形成されやすい環境にあります。このように、日本の地形的特徴が崖の多さに影響を与えており、崖が多く存在する日本では崖と共存することが必要です。

災害発生のリスクを低減するために緊急性の高い崖から補修工事を行う対策を講じていきますが、まずは崖崩れや地滑りのリスクを評価し緊急度を把握する必要があります。それが崖調査の目的です。

現場レポート

現場で使用する機器の紹介

          ①紅白ポール        ②ウォーキングメジャー          ③Leica DISTOレーザー距離計


紅白ポール
測量や建設現場でよく使用される道具です。赤と白の縞模様が特徴で、主に測量の際に基準点を示すために使用されます。目立つ色合いなので、遠くからでも確認しやすく建設現場での位置確認や目印として使われます。崖調査では崖の角度を計測したり、変状を写真撮影する際に変状のポイントがわかるように指し示めすために使用します。

ウォーキングメジャー
工事現場やスポーツ競技の距離測定、土地の測量で使用されます。棒の先に車輪が付いており、車輪が回転することで歩きながら距離を測定するためのツールです。崖の全長を計測する際に崖の形状が直線のものだけで無いため、ウォーキングメジャーを使用します。

Leica DISTOレーザー距離計
正確で信頼性の高い距離測定を行うためのツールで、角度も計測が可能なため、レーザーをかざすだけで傾斜の計測も可能です。崖調査では実際に計測できない高さのある崖の傾斜を計測するために使用します。

① 崖調査までの事前準備

本現場では社会基盤マネジメント部の岩田さんの指導のもと調査を行いました。
まずは現場に乗り込む前に事前準備を行います。
崖調査の事前準備は主に下記の通りです。

事前準備1

崖調査に必要な過年度の箇所別記録表と防災カルテと呼ばれる資料を準備し調査後、記入・整理がし易い様に過年度(前回調査の結果)の図を作成しておく

事前準備2

調査場所の確認をし、駐車できる場所も確認しておく

今回は岩田さんが事前準備をしてくださっていたため、私は事前に用意していただいた資料を印刷し、当日の現場に備えました。 また、夏は本当に暑さが厳しいので熱中症対策として空調服や、日差しよけ、飲み物等も事前に準備しました。

② 調査開始

当日現場に向かうために支店に6:30に集合し、荷物を積んでそこから現場へ出発です! 所々渋滞がありながらも、現場近くの駐車場に9:00頃に到着。 空調服を着用し、必要な試験機器等をもって現場に向かいます。現場に到着後住民の方の邪魔にならないように調査を開始します。

この日私たちは2現場を回りました。過年度の防災カルテと箇所別記録表等と比較しながら計測・観察を始めます。

作業の流れ

作業1

ウォーキングメジャーで崖の全長を測定する。

作業2

過年度の防災カルテと箇所別記録表の記録を確認し、注目すべき変状に関して経過を確認する。過年度から変化があった場合には状況を記録し、写真撮影を行う。その際紅白ポールを使用して形状の変化が分かりやすいようにポイントをさして撮影を行う。

作業3

防災カルテと箇所別記録表の記録を確認し箇所ごとに写真を撮影する。崖の傾斜は紅白ポールを使用して計測を行う。崖に高さがあり紅白ポール使用して計測できない場合は、Leica DISTOレーザー距離計を使用して傾斜を計測する。

1現場目は住宅地の中にある擁壁が設けられた崖で、住民の方の邪魔にならないように配慮しながら行いましょうと岩田さんに指導を受けてから調査を開始しました。まずは岩田さんの指示に従いながらウォーキングメジャーで崖の全長を計測します。
その後注意すべき変状に特に注意をして崖に変化があったかどうかを確認します。
例えばどのような変状が注意が必要かというと、崖が崩れた形跡がある、クラック(コンクリートのひび割れ)が広がっている、湧水がありコンクリートを劣化させる恐れがある、剥離が見られる等の変化を注意深く観察しながら進めていきます。
この現場では崖の傾斜を岩田さんが紅白ポールを使用して計測しました。

2現場目は非常に高さのある崖で、全長や傾斜、剥離などを確認し、撮影してから、崖に登り上の方の変状も確認しました。

1現場目と同様に全長をウォーキングメジャーで計測し、擁壁が設けられた崖の変状も確認します。また今回は高さのある崖だったため、傾斜はLeica DISTOレーザー距離計を使用して高さと傾斜を計測しました。Leica DISTOレーザー距離計のレーザーを壁面の最下部から最上部まで当てると、なんと崖の高さと、傾斜が分かります!凄いですね!

次に崖に登りそこでも変状が無いか確認をしていきます。ここではいくつか注意が必要な点がありましたのでそれを写真に収めた上で記録を取ります。

③ 現場終了

無事に調査を終えることが出来ましたので、水分補給をして帰社します。
今回は2現場に同行させて頂きましたが、岩田さんの様に熟練技術者になるとさらに効率良く行うとのことで、やはり知識と経験が必要になってくると感じました。現場を終えたら技術員の仕事は終わりではありません。支店に帰社後早速本日の現場の調査記録をまとめます。

④ 調査記録のまとめ

まずは事前準備1にて用意しておいた過年度の資料を基にして作成した図に、本日の調査結果を加筆し、写真を差し込みお客様に提出できるように整えていきます。特に危険な箇所については防災カルテを追加で作成します。
また、安定度調査表と呼ばれる崖の評価シートを使用して、崖崩れや地滑りのリスクを点数で評価します。

この評価を基に自治体が災害発生のリスクを低減するために緊急性の高い崖から補修工事を行う対策を講じていきますので、非常に重要なものになります。

現場体験取材を終えて

今回の現場は崖調査という事で、私自身も初めて同行させて頂きましたが、事前の周辺準備と知識・経験がとても大切だと感じました。資料に目を通してポイントを捉えておくこと、帰社してから資料をまとめやすいように準備をしておくこと、実際現場に入った際に知識・経験からいかに効率良く正確に現場を調査できるかが重要と感じました。
また、この円滑かつ正確な調査が災害発生のリスクを低減するための補修工事に繋がり、安全な暮らしが守られることを考えると当社の仕事の醍醐味や、重要性を再認識しました。

最後に

今回の崖調査には人事部員も参加をしました。
崖調査はじめ現場での業務に従事する技術員の働き方、考え方を実際に経験することにより、人事部として、「技術員がお客様に常に高品質のサービスを継続して届けるために何が支援できるか検討・実行する事」 「会社の魅力を発信する際の解像度を上げる事」を目的としました。
なお、現場経験の浅い人間が現場に出る点と技術員は現場を行うだけでなく、報告書まで含めて対応している点を重視して、今回は送り出し教育→現場対応→報告書対応という流れを取りました。

今回の現場を終えて、 現場の開始時間に合わせて移動することを考え、就業時間のさらなる柔軟な対応の必要を認識しました。 また、実際に現場経験が出来たことでより具体的な内容を交えて、当社の仕事の必要性や醍醐味、魅力を建設業界を目指す方へ発信していきます。

事前準備から現場まで対応頂きました、岩田さん、ありがとうございました!


岩田 摩希彦 ( 社会基盤マネジメント部 )
2015年 新卒で土木管理総合試験所に入社後、神奈川支店に配属。社会基盤マネジメント部として主にコンクリート・メタルの試験調査を行っているが、部署の垣根を越えて、崖調査等も勢力的に行う意欲・知識・経験ともに豊富な技術者。インターンシップ等にも講師として参加している。


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下平 絵里加
下平 絵里加
部署:マーケティング部

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