CBR(California Bearing Ratio)は、1928年に米国カリフォルニア州交通局のO.J.Portor氏が、道路や飛行機の滑走路の設計のため路盤・路床の支持力を判定するために考案・提唱した方法です。
道路を構成する舗装(表層/基層)・路盤・路床・路体が一体となって、安全な交通サービスを提供するために「CBR試験」を用いて評価します。日本では、アスファルト舗装の構造設計に CBRによる基準を採用していることからCBR 試験が広く利用されています。
CBR試験は、室内試験と現場試験に区分されます。室内CBR試験では、設計CBRと修正CBRを求めます。
設計CBR試験は、路床を対象に支持力としてのCBR値を求め、アスファルトの舗装の厚さや、コンクリート舗装の構造を決定します。
修正CBR試験は、路盤や盛土に用いる材料が適切かの評価や材料を選定するために行います。
室内CBR試験はJIS A 1211で規定され、現地で採取した試料を用いて室内環境で専用実験装置を用いて行います。
※現場CBR試験は、施工業者による品質管理や施工管理として実施されるのが一般的です。
室内CBR試験方法には、乱した土をモールドに締め固めて作製した供試体の CBR を求める「締固めた土のCBR試験」と、乱さない土のCBRを求める「乱さない土の CBR 試験」とに分けられます。
修正CBR試験では路盤材料を最大乾燥密度の95%に締め固めたものに対するCBR値(支持力の大きさ)を求めます。
いずれの方法も道路の路床や路盤が気象変化や経年変化で含水比の変化が生じることを予想し、最悪の条件における土の強さを推定するために水浸させて、水による影響を考慮し た試験方法となっています。
乾燥密度とは
土粒子の質量のみを土全体の体積で除した値です。間隙比や含水比と同様に土粒子の締まり具合を示す値で、締固め土特性を表す場合などに用いられます。
最大乾燥密度とは
JIS A 1210の試験方法より含水比を変えながら同一方法で締固めを行うことで、乾燥密度の最も高い含水比が見つかります。この含水比を最適含水比といい、このときの密度を最大乾燥密度といいます。
路床を対象に支持力としてのCBR値を求め、アスファルトの舗装の厚さや、コンクリート舗装の構造を決定します。
1.供試体の作製
自然含水比状態の土(37.5mmふるいを通過するもの)を突固め用モールド(内径15cm)に3層に分けて投入し、質量4.5kg のランマ
ーを45cmの高さから各層67 回自由落下させて突固めることにより供試体を作製します。
2.吸水膨張試験
雨水の浸入等による最悪の条件を想定して、供試体を4日間水浸させます。このとき供試体上面には舗装の重量や交通荷重を想定した5kg
の軸付き有孔板を載せます。
膨張量を測定し、膨張比を求めます。
3.貫入試験
吸水膨張試験終了後、供試体を水浸容器から取り出して15 分間静置し、供試体中央にピストン(直径5cm)を置いて、これを1mm/分の速度で12.5mm まで貫入させます。なお、ピストンを除く供試体上面には、5kg の荷重板を載せた状態で貫入試験を行います。
貫入量2.5mm および5.0mm のうちの大きい方のCBRを、その供試体のCBRとします。
設計CBRが3%未満の土は路床土には適していないので、固化材等を使用して安定処理を行うか、路床土を入れ替える必要があります。路床を対象に支持力としてのCBR値を求め、アスファルトの舗装の厚さや、コンクリート舗装の構造を決定します。
路盤や路床に用いる材料の評価や選定のためのCBR値を求めます。
1.最適含水比の把握
突固めによる土の締固め試験を実施し、最適含水比を求めます。
2.供試体の作製
37.5mm ふるいを通過させた試料を最適含水比±1%の含水比に調整し、これを突固め試験用モールド(内径15cm)へ3 層に分けて投入し、各層毎に質量4.5kg のランマーを45cm の高さから所定回数自由落下させて突固めることで供試体を作製します。突固め回数は、広範な乾燥密度-CBR関係が得られるよう92,42,17 回/層の3 段階とします。
3.吸水膨張試験・貫入試験
供試体を4 日間水浸膨張させてから貫入試験を行います。
締固め曲線およびCBR-乾燥密度関係(図2)から、最大乾燥密度の95%の締固め度に対応する修正CBRを求めます。
路盤材の95%修正CBRの所要値は、一般的に上層路盤で80%以上、下層路盤で20%以上とされています。
また、路盤の施工では、所要のCBRを確保するために路盤材を最大乾燥密度の95%以上に締固める必要があります。
※ NEXCO仕様の高速道路におけるCBR試験方法にも対応可能です。お問い合わせください。
道路設計における舗装厚の決定には、CBR試験によるCBR値のみでなく、設計期間 ・舗装計画交通量 ・舗装の性能指標の設計条件の設定が必要となります。
切土路床
・路床面下50cm以上深い箇所から乱した状態で土を採取する。(※東京都は別途乱さないで採取する記載あり)
・路床面下1m以内の間で土質が変化している場合は、各層の土を採取してCBR試験を行う。
・補修工事などで既設舗装の路床土を採取する場合は、設定した路床厚さの中央部よりも
深い位置から採取する。
・採取箇所数は、調査が比較的短い場合や、路床土が同一と見なされる場合であっても
道路延長上に3箇所以上とすることが望ましい。
引用:舗装設計便覧 平成18年2月 社団法人 日本道路協会
※ 土質の変化の判断については、経験値も重要であるため、技術員が採取に伺うことがございます。土質変化の判断に不安である場合は、弊社へご相談ください。
CBR試験には、設計・修正・現場に区分されていますが、各試験の目的や試験結果の適用用途が異なりますので違いについて参考にしてください。
設計CBR試験 | 修正CBR試験 | 現場CBR試験 | |
目的 | 舗装厚の決定に利用 | 現場で使う路盤材料の選定に利用 | 現場の路床支持力の判定に利用 |
解説 | 路床土の適否を判断するための指標 | 最大乾燥密度95%に締め固めた路盤材料に対する指標 | 路床や路盤の支持力を現場で直接測定 |
試験場所 | 室内 | 室内 | 現場 |
試験規格 | JIS A 1211 | JIS A 1211 | JIS A 1222 |
判定 | CBRが3%未満か ※満足しない場合は、安定処理や置き換えが必要です |
上層路盤で80%以上、下層路盤で20%以上が確保されているか | 目標のCBRの確認 |
現場CBR試験
現場CBR試験は主として品質及び施工管理に利用されます。現場の条件が土を乱さずに施工ができ、かつ乱すことによって極端に強さが低下することが分かっている場合や、試料採取が困難な粗粒材を対象とする場合などは、現場CBR試験の方が合理的となります。
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