catch-img

【ブログ】SIP第三期 DKの取組み~社会実装のために民間企業としてできること~

本ブログでは、戦略的イノベーション創造プログラム(通称SIP(エスアイピー)(以下SIP))第三期における弊社の取組みを連載しています。
前回のブログでは、SIP第三期に協力機関として参画する弊社の取組み及び将来像についてDK技術研究所の八木澤取締役へインタビューを行いました。
今回は、弊社からSIP第三期の受託研究員として東京大学に派遣されている、DKコンサルタント研究室(以下、DKCラボ)の井口さんへ活動内容やSIP第三期にかける想いをお聞きしました。

▲ 土木管理総合試験所  DK技術研究所 DKCラボ 井口



現場視点が活きる!受託研究員としての活動

 受託研究員として活動する前はどのような業務に携わっていましたか?

井口:私は2010年に入社し、非破壊試験部(現:社会基盤マネジメント部)に配属され、コンクリート構造物を中心とした現場調査や室内試験業務に従事してきました。2019年からは、調査点検の自動化・省力化を目指し、最先端技術の研究開発を担うDKCラボに所属し、その研究開発業務の1つとしてSIP第三期のプロジェクトに参加することになりました。

非破壊試験部 配属時の配筋状態及びかぶり測定をする様子

― 前回ブログでは、弊社がSIP第三期において「社会実装」の役割を担っていることを伺いました。今回は受託研究員の井口さんが実際に担当している役割や研究について教えてください。

井口:弊社はSIP第三期において、協力機関として東京大学 水谷研究室と連携し「サブ課題B:先進的なインフラメンテナンスサイクルの構築」の一環として、「車載型地中レーダー・LiDAR統合解析による大規模道路インフラ内部の高速三次元可視化」という研究テーマに取り組んでいます。弊社は現場に根差した視点と技術力を活かし、研究成果を社会へつなぐ「橋渡し役」として、「社会実装」の重要な役割を担っています。

私は、東京大学と協力しながら、道路管理を行う企業様や自治体様、技術を活用するコンサルタント会社様に対して、実際の現場で技術活用を進めるための関係者間の調整、紹介や、研究開発を行っています。

― 研究テーマの 「車載型地中レーダー・ LiDAR統合解析による大規模道路インフラ内部の高速三次元可視化」について教えてください。

井口:SIP第一期では、従来からある高速計測が可能な地中レーダー技術に、非学習型で解析学的処理の代表格である「ディジタル信号処理」を組み合わせ、実際の床版内部の損傷可視化技術を開発しました。

開発した技術をさらに進化させ、SIP第三期では地中レーダーとLiDARを搭載した車両が交通規制をかけずに道路を走行し、最先端のAI技術も組み合わせることで道路の表層から普段目で直接確認できない内部の状態を高解像度で「見える化」し損傷抽出や将来予測を可能にすることを目指しています。

​​​​​​​

▲ 交通規制をかけずにRSVが走行。道路ジョイント部分をレーダー、LiDARで検出する様子
RSV(Road Scan Vehicle)、3D地中レーダーとLiDARを搭載した車両


井口:さらにその先に見据えているのは、LiDARにより撮影した橋梁やマンホールの位置、路面のひび割れ、埋設管の位置、損傷の有無などを自動的に解析し、その結果をWEB地図やGIS(地理情報システム)と連携させ、誰もが活用できるインフラ情報プラットフォームの構築を目指しています。


▲ 成果イメージ

― 東京大学と協力して行う活動はいかがですか?

井口:東京大学で論文を執筆している学生と直接意見交換ができることは、大変貴重な経験です。最先端の研究に触れながら、自分の知見を広げる良い機会になっています。
また、水谷研究室からは「現場の実務に基づくデータ取得方法を学べて非常に参考になる」といった声もいただいており、現場と研究の「橋渡し」という役割にやりがいを感じています。

また「サブ課題B:先進的なインフラメンテナンスサイクルの構築」には、「車載型地中レーダー・LiDAR統合解析による大規模道路インフラ内部の高速三次元可視化」の他にも研究テーマがあり研究チームがいます。それぞれの研究成果を連携することで、1つの意味のあるデータとなり社会実装に繋がっていきます。

▲ 学生との交流状況

出典元:学部生向け水谷研少人数セミナーで長野県で地中レーダー計測と分析を実施
 – Mizutani Lab. | IIS, the Univ. of Tokyo 東京大学 生産技術研究所 水谷研究室

研究成果を社会へつなぐ─技術者としての使命と展望

― 技術者としてSIP第三期の取組を通して、どのような展望を持っていますか?

井口:まずは新技術を活用したサービスを確立することで社会実装の入り口に立たせたいと思います。将来的にはそれを弊社の他のサービスとも連携させ、インフラメンテナンスのための効率的な仕組みを構築したいですね。その結果が持続可能な社会、well-being※にもつながるものと信じています。

※well-being(ウェルビーイング):心も体も満たされて、安心して幸せに暮らせる状態

最後に

この記事を読んでいる方に一言をお願い致します。

井口:建設業界は3K(キツイ、キタナイ、キケン)というイメージが根強く残っていますが、老朽化したインフラ構造物の維持管理が求められる現代において、インフラ構造物の健全性を保つ技術と取り組みは社会全体の基盤を支えるために不可欠です。さらにインフラメンテナンスは最先端技術を活用し社会に貢献ができる業界です。
人々の生活を豊かにするために不可欠なものであり魅力あふれる業界です。ぜひ一緒に盛り上げて行きましょう。

井口さん、ありがとうございました。

弊社は持続可能な社会の実現に向けて、SIP第三期の取り組みを引き続き推進し、社会実装に貢献してまいります。


▼ プロフィール

井口 達也(tatsuya IGUCHI)
技術士【総合技術監理部門】建設|鋼構造及びコンクリート
技術士【建設部門】鋼構造及びコンクリート




関連コンテンツ

  床版劣化調査|試験・調査 ・分析|土木管理総合試験所のサービス 土木管理総合試験所では床版劣化調査を実施しています。従来の橋梁コンクリート床版劣化調査では橋の通行止め、舗装の仮復旧、人手不足さらに人の感覚による結果のばらつきという課題がありました。当社では3次元レーダ搭載車両で床版内部の状況を高速かつ非接触で調査します。また取得したデータを床版劣化自動解析技術を用いて解析を従来の方法から大幅削減しました。当社の床版劣化調査を業務にお役立てください。 株式会社土木管理総合試験所
  路面性状調査|物理探査|試験・調査 ・分析|土木管理総合試験所のサービス 土木管理総合試験所の物理探査部では路面性状調査を実施しています。道路舗装の修繕を効率的に行うため、ひび割れ、わだち掘れ、平坦性、パッチング箇所を、性能確認試験に合格した測定装置(車両)によって道路の現状を把握する調査をご紹介します。 株式会社土木管理総合試験所
  【物理探査】路面下空洞調査|試験・調査・分析|土木管理総合試験所のサービス 路面下空洞調査では、路面を掘削することなく、地中レーダ探査法や電磁誘導法を用いて地下の空洞可能性がある箇所を特定します。当社ではGNSS(GPS)データを1次調査(概査)の時点で取得し、地中レーダーの波形データと融合することで「空洞」「埋設管」「埋設物」の位置を把握する事ができます。また、軌道下の空洞探査、トンネル覆工探査、護岸背面空洞調査にも対応します。 株式会社土木管理総合試験所




遠藤 雅弓
遠藤 雅弓
部署:マーケティング部

人気記事ランキング

調査実績


24時間365日WEBで依頼


採用情報