砂防ソイルセメント工法

砂防ソイルセメント工法を採用する工事にて、試験/分析/コンサルティングでトータルに現場を支援します

砂防ソイルセメント工法とは

砂防ソイルセメント工法は、砂防事業を推進する上で、砂防施設の構築に現地発生土砂を有効活用するために開発された工法です。
本工法は、施工現場において現地発生土砂とセメント・セメントミルク等を撹拌混合して築造し、砂防施設とこれに伴う附帯施設の構築および地盤改良に活用する工法の総称です。
振動ローラー等で締固める工法を「転圧タイプ」、セメントミルク等を加え撹拌した材料に流動性を持たせる工法を「流動タイプ」として区分されています。
各施工タイプは、それぞれ長所短所があり、また施工タイプに応じた材料試験の項目等が異なります。

当社は「現場に適した施工タイプや各種仕様書に準拠した材料試験から配合試験、施工時の品質管理などトータルなコンサルティングサービス」を提供しています。砂防ソイルセメント工法に関する課題やお困りごとに関し、何なりとご相談ください。

砂防ソイルセメント工法の適用性/優位性等の情報はこちらをご覧ください。
(一財)砂防・地すべり技術センタ|砂防ソイルセメント


1.各フェーズでの提供サービス

砂防ソイルセメント工法を適用した工事では
①適用性/施工タイプ選定、②材料試験、③配合試験(示方配合の決定)、④試験施工/実施工、⑤施工後の観察/維持管理
のフェーズで構成されます。


①適用性/施工タイプの概要

転圧タイプの概要


転圧タイプは、現地発生土砂とセメント(場合によっては水)を現場内で攪拌混合し、ブルドーザ・振動ローラー等によって敷均/転圧を行う工法です。

流動タイプの概要


流動タイプは、セメントミルクなどと現地発生土砂を撹拌混合し、流動性をもたせてコンクリートのような性状で施工する工法です。

転圧タイプ/流動タイプの比較
  転圧タイプ 流動タイプ
長所
  1. ブルドーザ・振動ローラーなどを用い土工に近い施工で汎用性が高い
  2. 一般的に流動タイプに比較すると製造ヤードが小さくフレキシブルに対応できる
  1. 水和反応に必要となる加水量を十分に確保できる
  2. コンクリートホッパなどを用いることで狭小部にも打設が可能である
  3. 充填性が良いため粗石の活用が期待できる
短所
  1. 重機転圧のためトラフィカビリティ確保・対策が必須となる
  2. トラフィカビリティ確保のため十分な加水ができないケースがある
  3. 転圧重機が入れないような狭小部には打設が困難
  4. 重機走行性、充填性の観点から最大礫径の制限がある
  1. レディーミクストコンクリート同様、ワーカビリティ(打設性)を確保する必要がある
  2. 施工方法によっては、施工機械が大がかりとなる
  3. 施工方法によりセメントミルクプラント等、製造ヤードが大がかりとなる

 

転圧タイプ/流動タイプの特徴
項目 転圧タイプ 流動タイプ
混合方法 バックホウなど バックホウ、特殊混練機械など

固化材

セメント セメント
水量 少ない 多い
材料の性状 超硬練り(ゼロスランプ) 軟練り~超軟練り
締固め 必要(振動ローラなど) 不要(バイブレータなどで充填)
使用土砂 Gmax ~Φ100mm程度 ~Φ300mm程度
細粒分含有率 20%程度以下 50%程度以下

施工量(平均値)

(最大実績値)

80m3/日

(1,100m/日)

80m3/日

(600m3/日)

セメント使用量の目安 100~200kg/m3 100~300kg/m3

 


②材料試験

適用する材料の物理特性から、ソイルセメントとしての適性を把握するために材料試験を実施します。材料試験の対象は「現地発生土砂」「水」「セメント」となります。

現地発生土砂

砂防ソイルセメントに用いる現地発生土砂は、掘削土砂だけでなく、既設堰堤の堆砂土砂、施工現場付近で採取できる土砂、さらには他工事の現場からの搬入土砂等も対象とできます。砂防ソイルセメント工法の採用に際し現地発生土砂の物理特性を把握するため下記の試験を実施します。

試験項目 試験基準 備考 転圧タイプの必須項目 流動タイプの必須項目
ふるい分け試験 JIS A 1102・1204

-

締固め試験 JIS A 1210 B・E法
含水率(比)試験 JIS A 1125・1203 -
有機不純物試験 JIS A 1105 -
礫・玉石の強度試験 JGS 3421 -  
単位容積質量及び実積率試験 JIS A 1104 1または3分級  
密度・吸水率試験 JIS A 1109・1110 粗骨材1~3分級  

 


水は、原則として施工現場付近で採取できる河川水や流水等を使用するため、セメント硬化反応を妨げることがないことを把握するため下記の試験を実施します。

試験項目 分析項目 基準
コンクリートの練混ぜ水の品質規格 懸濁物質の量 JIS A 5308 付属書 C
溶解性蒸発物質の量
塩化物イオンの量
モルタルの圧縮強さの比
凝結時間の差

※JIS A 5308付属書Cまたは、JSCE-B101

セメント

砂防工事では、長期強度や化学抵抗性に優れる高炉セメントB 種の使用が一般的ですが、砂防ソイルセメント工法においてはセメントの種類は特に限定しません。
六価クロム抑制、早期改善など用途に応じてセメント系固化材の使用も有効であり、例えば対象土砂が有機質の土砂である場合には有機質土用セメント系固化材を活用するなど、現地発生土砂の性状/施工時期/セメントの調達性を勘案しフレキシブルにセメントの種類を選定することができます。


③配合試験(示方配合の決定)

配合試験計画は、計画条件等をふまえ現地発生土砂の賦存量/材料試験結果から強度/単位体積重量等の要求性能を満足し、施工性が担保される配合を設定するための適切な配合試験ケースを検討します。
ソイルセメントの配合試験は、現地発生土砂や改良材を一定の割合で混合した土砂に対して使用セメント量や含水比を変化させ、所定の要求性能に対する最適な配合条件を得るために行います。
配合強度

配合強度は、示方配合を決定するために実施する配合設計において目標とする圧縮強度であり、現場強度に安全余裕度を考慮し設定します。

配合試験ケース

転圧タイプ / 流動タイプともに配合試験方法は同様ですが、配合の組合せケース数が多くなると試験コストが高くなり、ケース数が少なければ最適値の信頼性が不十分です。配合試験ケース数は、当社の経験や知見に基づき最適な配合試験ケース数をご提案し実施します。

区分 試験項目 試験基準 備考
必須項目 試験室における練混ぜ JIS A 1138 可傾式ミキサ
供試体作製 JIS A 1132 電動締固め機械、振動締固め機械
圧縮強度試験 JIS A 1108 Φ125×250mm σ7,28
六価クロム溶出試験 環境庁告示46号溶出試験 -
必要に応じて実施 標準VC試験 JSCE-F 507-2007 -
スランプ試験 JIS A 1101 -
コーン指数試験 JIS A 1228 -

 

示方配合の決定

示方配合は配合試験結果に基づき、適用部位 / 施工タイプ等を勘案して決定します。


④試験施工・実施工

砂防ソイルセメントの施工は、現地状況や対象となる施設の規模、使用する材料特性、施工設備、施工機材等を考慮し施工箇所の条件に応じて施工方法を選定します。
混合

バックホウ攪拌が一般的で、土砂+セメントによる空練り+加水+本練りで3.0 分/m3 が標準的です。ただし、混合時間は試験施工等の結果により決定します。

敷均し

ブルドーザまたはバックホウが一般的に利用され1 リフト厚を1 層か2 層に分けて敷均します。

転圧・締固め

振動ローラーを使用し転圧回数は試験施工等の結果により決定します。転圧後の仕上り厚:50cmの場合には大型(10t 級以上)、転圧後の仕上り厚:30cm 以下の場合には小型(1 ~ 5t 級) が用いられるのが一般的です。

打継目処理

表面が乾燥する場合は散水を行い必要に応じてセメント散布(0.5 ~ 1.0kg/m2) を実施します。一体性を保つ流動タイプの場合には、原則高圧水によるレイタンス除去と厚さ1cm程度のセメントミルク散布を行うこととなっています。

養生

原則として養生シートを用いた養生を行います。

品質管理

転圧タイプの品質管理

適用  試験項目  試験基準  頻度
 現地発生土砂  ふるい分け試験

 JIS A 1102・1204

1回以上/1材料 
 含水率(比)試験  直接加熱法(フライパン法)  1回/施工日
 ソイルセメント フェノールフタレイン散布 - 混合回数毎
RI計器による密度試験 JGS 1614-2003 1回(3点以上)/500m3
供試体作製 JIS A 1132 1回/500m3(σ7,28)
コア採取試験 ※ - σ7,28
圧縮強度試験 JIS A 1107・1108 Φ125×250mm σ7,28

 ※ 試験施工で実施するケースが多い

流動タイプの品質管理

適用 試験項目 試験基準 頻度
現地発生土砂 含水率(比)試験 直接加熱法(フライパン法) 1回/施工日
セメントミルク セメントミルク密度 マッドバランス法 1回/施工日
セメントミルク量 投入量実測 レーンまたは施工ブロック
ソイルセメント 撹拌ムラ確認 目視 レーンまたは施工ブロック
スランプ試験 ※ JIS A 1101 -
供試体作製 JIS A 1132 1回/施工日(σ7,28)
コア採取試験 ※ - σ7,28
圧縮強度試験 JIS A 1107・1108 Φ125×250mm σ7,28

※試験施工で確認することが望ましい試験項目。粗石を活用する場合のコアの強度は、許容径を超えるため注意を要する

▽ 本ページの内容に加えて、材料の性状ごとのコンシステンシーや施工概念図、配合試験ケースの設定等がご覧いただけます


2.竣工後の構造物管理

コンクリート構造物は、設計、材料、施工、維持管理(巡回・巡視)の建設プロセスにより構築されています。損傷の要因は、特定の建設プロセスに限定したものではなく、一連の建設プロセスの中で複合的に関与しているものと考えられます。
砂防ソイルセメント工法も同様に、これらの損傷要因から抽出した課題を解決し、砂防ソイルセメント工法を採用した構造物の品質を確保・向上させることで、所定の耐久性を得ることが必要です。
砂防ソイルセメント工法では、ひび割れや劣化への対応として外部保護材の外部拘束により対策する構造となっていますが、ひび割れ発生に影響を及ぼす構造体内部の温度変化への着目は品質確保、信頼性向上の観点から重要です。以下の当社が提供している維持管理に関する関連技術サービスを紹介します。

コンクリート構造物のひび割れモニタリング

ひび割れ幅を観測する方法は、現場でクラックスケールを用いる方法や変位計とデータロガーを用いる方法が一般的でしたが、センサーを監視対象に取り付けるだけで、すぐに常時測定を開始することが可能です。コンクリートのひび割れを遠隔で監視し、モニタリングします。
また、「横」「縦」の間隙観測にも応用でき、遊間(ギャップ)・変位・段差も簡単に観測することができます。

詳しくはこちら


3.特許取得「土砂の利用可否判定方法」

砂防事業では、砂防工事の現場発生土砂を使用する砂防ソイルセメント工法が普及しています。
土木管理総合試験所では砂防ソイルセメント工法について「土砂の利用可否判定方法」の特許を取得しました。

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