
【ブログ】現場体験取材9~構造物の平板載荷試験編~
現場体験取材シリーズでは、当社の様々な現場を取材・紹介しています。
第9回となる今回は、GEOコンサルタント部の「構造物の平板載荷試験」の現場に行ってきました。
現場体験取材シリーズ 過去ブログ は 下記リンクよりご覧ください。 |
平板載荷試験とは
平板載荷試験とは反力装置(バックホウやH鋼+鉄板など)を使って地盤の支持力や変形特性を確認する試験です。構造物の基礎地盤においてその重さに耐えられるかを確認したり、道路の路盤の地盤反力係数を求めることを目的としています。
主な構造物には、L形擁壁・垂直擁壁・ボックスカルバートなどの土木構造物や工場などの建築物があり、構造物を建設する前に設計図面に記載されている支持力の数値を満足しているか試験をします。試験をした結果、構造物を支えることができない地盤の場合は、砕石による置換えや現場の土にセメントや石灰を混合して地盤改良などの検討を行います。
平板載荷試験の載荷方法には、単サイクル(段階式載荷) と多サイクル(段階式繰返し載荷)があります。基本では5~8段階で試験を設定するため、試験時間は3~4時間程度かかります。
- 単サイクル(段階式載荷):地盤の支持力特性を求めます。試験のみで約3時間ちょっとかかります。荷重を等分ピッチでかけ続けます。
- 多サイクル(段階式繰返し載荷):地盤の支持力特性と変形特性を求めます。試験のみで約4時間ちょっとかかます。荷重を等分ピッチでかけますが、途中で荷重を抜いたり、再び荷重をかけたりする方法です。多サイクル方式は、より多くの情報(支持力特性と変形特性)が得られるためよく選択されます。
試験の原理としては、バックホウや鉄板などの重量を反力装置として利用し、反力装置から戻ってくる力を地盤に伝えます。地盤にどのくらいの力をかけて、直径300mmの載荷板がどのくらい沈下しているのかを測定します。
調査流れ
平板載荷試験全体の流れは以下の通りです。
調査機器
試験装置
- 荷重計(ロードセル) :圧縮用ロードセル
- 単動シリンダ ストローク 125mm
- 高感度変位計(4個):デジタルゲージ
- マグネットスタンド
- 円形載荷板 1枚 直径300mm
- 基準ばり 2本 鋼製角棒
- 荷重変位量測定装置(1台):データロガー
- 基準点 4個 伸縮式鋼製支持台
- 手動ポンプ ストローク 20.5mm
反力装置
試験するにあたって、反力装置をお客様に用意してもらう必要があります。
例)バックホウ・H鋼+鉄板など
現場レポート
今回はファームポンド(コンクリート製の貯水槽)の基礎底面において多サイクル方式(段階式繰返し載荷)で平板載荷試験を行い、その支持力を確認しました。
現場では車やバックホウが移動する工事用道路には鉄板が敷設され、熱中症対策の看板も設置されており、安全対策が入念に行われていました。
▲ 左:工事用道路の敷鉄板 右:熱中症対策の回覧板
本現場で試験機設置から支持力確認まで見せていただきました。
それでは、現場レポートをお届けします!
事前準備
試験を開始する前に現場で必要となる支持力を確認します。確認した支持力は、構造物の基礎設計に必要なデータであり、これに基づいて、建設する構造物に対して地盤が十分な強度を持っているかを確認します。 今回の確認する支持力は40kN/m²でした。しかし、実際に現場で確認するのは40kN/m² ではなく、安全率を考慮した試験の荷重です。試験荷重の計算方法は以下通りです。
確認支持力x安全率 < 試験荷重(安全率はだいたい2~3倍として入れる)
現場開始
試験装置の組み立て
試験装置の組み立ては以下の手順で行いました。
- 円形載荷板、油圧ジャッキの順にセットし、その後、支持台、支持棒をセットします。
- 変位計、ロードセルをセットします。
- 油圧ホースを油圧ジャッキに繋ぎます。
- 電子ケーブルを変位計、ロードセルに繋ぎます。
- 油圧ホース、電子ケーブルを測定機器に繋ぎます。
▲ 試験装置(組み立て中)
この際、特に注意すべき点は、基準ばり及び基準点が試験中に動かないことです。これが試験の精度に直結するため、非常に重要なポイントとなります。
試験装置は全て当社の熟練技術員の手によって、スムーズに組み立てが進みました。
▲ 試験装置(組み立て後)
測定開始
試験機を起動した後、細かい数字がデータロガーのモニターに自動的に表示されるようになっています。指定した計測時間に円形載荷板がどれだけ沈下するかを計測することが主な作業となります。今回は多サイクル方式(3サイクルで6段階)の載荷計画を採用し、総計4時間を要しました。各サイクルごとに4個の変位計を使用して、沈下量を測定しました。
▲ 沈下量測定
測定終了
試験が終了した後、各段階の記録をまとめました。具体的には、各段階の沈下量の平均値を算出し、段階ごとの沈下量の推移を用紙に記載しました。当日中に試験結果をお客様に渡して会社に戻りました。
最後に
今回はGEOコンサルタント部の皆さんと平板載荷試験を行いました。
GEOコンサルタント部の皆さんには大変お世話になりました。専門用語(地盤反力係数 、載荷板等)や測定方法など、わからないことがあるたびに何度も教えていただき、本当に勉強になりました。
事前に資料を読んだ際には、試験の実施に3~4時間もかかる理由がわかりませんでしたが、実際に現場に行ってみると、一回の測定で完了するのではなく、数段階の異なる基準で測定するために時間がかかることが理解できました。
GEOコンサルタント部の皆さんには、暑い中での作業にもかかわらず、丁寧に優しく教えていただき、本当に感謝しています。
今回の現場を案内してくださった技術員は、
GEOコンサルタント部総合試験課(中日本)の永山課長です。
▲ 左:永山課長、右:水越課長
GEOコンサルタント部総合試験課(中日本)
永山 佳輝さん
2013年土木管理総合試験所に入社後、試験課、総合試験課に配属以降、現場・土質試験業務を行い、長野本社を中心に地域を問わず全国の現場で活躍している。
そして今回の現場で作業されていた技術員の皆様をご紹介します。
GEOコンサルタント部総合試験課(中日本)
髙橋 知大さん
2021年土木管理総合試験所に入社後、総合試験課に配属以降、お客様とのコミュニケーションを大切に業務を行い、部署のムードメーカーとして活躍している。
GEOコンサルタント部総合試験課(中日本)
宮本 昇舞さん
2024年土木管理総合試験所に入社後、総合試験課に配属以降、毎日現場に出て少しずつ業務を覚えて、今後のDKの中心メンバーになることを目指して日々努力を重ねている。
当社では、様々な試験・調査を承っております。
お打合せ、お見積、ご提案まで対応いたしますので、お気軽にご相談ください。