農業用ため池耐震診断 

農業用ため池耐震診断に必要な地質調査サービスを提供します

農業用ため池とは

農業用ため池とは、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう人工的に造成された池のことです。農林水産省の調査では全国で約17万箇所のため池が確認されています。
農業用ため池の多くは江戸時代以前~昭和初期に造られ、古くから農業の貴重な水源、及び農業生産性の向上としての役割を担ってきましたが、築造時期が明らかでない古い施設が多いことから、施設の老朽化が進行し権利関係も複雑化しています。

農業用ため池の課題

東日本大震災の際には、農業用ため池が決壊する被害があり、平成30年7月の豪雨災害では農地やため池等の農業水利施設に甚大な被害が発生しました。このような背景から農林水産省では全国ため池緊急点検を実施しています。
全国ため池緊急点検の対象は、決壊した場合に下流の家屋等に被害を与えるおそれのある農業用ため池として全国88,133か所を対象に点検を実施しています。

農業用ため池への対策の必要性

近年、地震、豪雨等により多くの農業用ため池が被災し甚大な被害が発生しています。このため、農業用ため池の情報を適切に把握し、決壊による災害を防止することを目的に、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が制定されました。この法律により、下記の規定が定められ、農業用ため池の管理者は、防災・減災に務める必要があります。

  •  農業用ため池の所有者及び管理者は、農業用ため池の機能が十分に発揮されるよう、農業用ため池の適正な管理に努める。
  •  都道府県は、農業用ため池の所有者等が農業用ため池の管理上必要な措置を講じていないと認めるときは、所有者等に対し、防災工事の施行、管理者の選任その他の必要な措置を講ずる旨の勧告を行うことができる。

なお、都道府県は、市町村又は農業用ため池の所有者等に対し、防災工事に要する費用の一部を補助する補助事業を整備し、防災・減災に勤め官民一体となって国土強靭化を推進しています。

1.サービス概要

試験の概要

当社では、創業以来の全国各地の地質調査実績や経験に基づいて、ため池の耐震性評価に必要な調査、分析を提供しています。
調査、分析に限らず、対策が必要となった際には耐震工事から維持管理までの一貫したサービスを提供しています。


堤体評価業務フロー



2.ため池の重要度区分

ため池は、地域ごとに配置条件や形状等が異なるので、具体的な数値指標を定義して重要度を区分することは困難です。重要度の区分としてはAA・A・Bの3つに分けられますが、これらは下流の土地利用や地形状況等を調査し、被害想定範囲や被害対象を明らかにした上で区分を決定しています。

重要度区分 区分の定義

AA種

① 堤体下流に主要道路や鉄道、住宅地等があり、施設周辺の人命・財産やライフラインへの影響が極めて大きい施設

② 地域防災計画によって避難路に指定されている道路に隣接するなど、 避難・救護活動への影響が極めて大きい施設

A種 被災による影響が大きい施設
B種 AA種、A種以外の施設

*1:平成27年10月に、改定図書 土地改良事業設計指針 「ため池整備」が発行されています
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3.ため池に求められる耐震性能

土地改良事業設計指針「ため池整備」(案)では、ため池の重要度区分と地震動のレベルに応じて次のような耐震性能を保持することを基本としています。

重要度区分 耐震性能
レベル1地震動 レベル2地震動
AA種

健全性を損なわない

限定された損傷にとどめる
(液状化対策工の評価を行う)
A種 健全性を損なわない
(液状化対策工の評価を行う)
耐震設計を行わない
B種 健全性を損なわない 耐震設計を行わない

レベル1地震動:施設の供用期間内に1~2度発生する確率の地震動。
レベル2地震動:発生する確率は低いが地震動強さの大きな地震動。

*1:平成27年10月に、改定図書 土地改良事業設計指針 「ため池整備」が発行されています
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4.耐震性能を評価する試験

地震災害に対する堤体の安定性や液状化の予測は、主に以下の土質試験を実施しますが、特にレベル2地震動に対しては耐震性能の評価や液状化に関する解析が求められます。
そのため実施する解析に合わせた試験の実施が必要となります。


5.レベル2地震動の動的解析に必要な試験項目

レベル2地震動の動的解析を行う際に必要となる試験項目には以下の種類があり、解析目的に応じて試験項目を選定します。

解析法 試験法
全応力解析

圧密・非排水(CU)試験又は圧密・排水(CD)試験

繰返し三軸試験

液状化試験

繰返し三軸試験+単調載荷試験

有効応力解析

圧密・非排水(CU)試験又は圧密・排水(CD)試験

繰返し三軸試験

液状化試験

*1:平成27年10月に、改定図書 土地改良事業設計指針 「ため池整備」が発行されています
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特に地震による繰返し荷重による強度低下を求めるには、「土の繰り返し非排水三軸圧縮試験(JGS 0541)」に基づいて繰返し載荷を与えた後に、非排水状態を保ったまま「土の圧密非排水(Cuber)三軸圧縮試験方法(JGS 0523)による単調載荷を実施します。


6.当社が支援できること

現場打設している現場はひび割れ調査等の依頼も竣工後に問い合わせが来るので、工事着手前~着手後までお手伝いできます。

調査 参照:土地改良事業設計指針「ため池整備」(案)*1
1. 測量 P9 第2章 調査 2.1.1 測量
2. 地質調査 P10 第2章 調査 2.1.2 地質調査及び土質試験
3. 土質試験
 ・ボーリング調査
 ・土質試験(築堤一式+三軸+※配合試験) ※現地発生土を流用する場合
 ・土壌分析(土壌汚染対策法27項目または環境基準25項目)
 ・品質管理(現場密度試験、現場透水試験、平板載荷試験)
P14 第2章 調査 2.2 材料調査 (3)土質試験
4. 環境調査 P13 第2章 調査 2.1.3 環境調査
5. 施工について P15 第2章 調査 2.2 材料調査 (3)土質試験 b.三軸圧縮試験等の室内試験と堤体の安定解析 (b)盛立施工

*1:平成27年10月に、改定図書 土地改良事業設計指針 「ため池整備」が発行されています
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