道路トンネル定期点検

トンネルの劣化状況を把握、診断をし、補修設計に必要なデータを提供

インフラ構造物の老朽化と維持管理の課題

日本では高度経済成長期以降に集中的に整備されたトンネルや橋梁などのインフラ構造物について、築50年以上を経過するものが増加しています。これらの構造物は老朽化による劣化や損傷のリスクが高まっており、インフラの高齢化が社会的な課題として注目されています。

2012年に発生した笹子トンネル天井板崩落事故を契機に、国土交通省は2014年に道路法施行規則を改正し、「道路トンネル定期点検要領」などの基準を定め、法定点検の実施を道路管理者に義務付けました。これにより、インフラの安全確保に向けた点検・診断体制が強化されました。

インフラ構造物の長寿命化と安全性確保のために、メンテナンスサイクルを繰り返すことで、構造物に不具合が生じてから対策を行う「事後保全」から、構造物に不具合が生じる前に対策を行う「予防保全」に転換してきており、定期点検は維持管理計画に反映するために重要な役割を担っています。

参照:国土交通省 道路トンネル定期点検要領 令和6年9月

1.道路トンネル定期点検とは?

国土交通省が道路法施行規則を改正し、「道路トンネル定期点検要領」などの基準を定めています。この制度改正により、道路トンネルの安全性を確保するため、以下の内容が義務化されました。

定期点検の概要

  • 頻度:5年に1回の定期点検を義務化
  • 方法:近接目視による点検を基本とする
  • 診断:健全性を4段階(I〜IV)に分類し、補修・補強の必要性を判断

点検結果の活用

点検結果は、

  • 予防保全
  • 早期措置
  • 緊急措置

の判断材料となり、維持管理計画に反映するために必要な資料となります。

定期点検は、劣化や損傷を早期発見し、対応の優先順位や応急対策が実施することを可能にします。これにより、道路トンネル利用者の安全性と円滑な交通の確保に繋がります。

2.点検は何をする?現地調査~診断までの流れを解説

道路トンネル定期点検の流れ(イメージ)

道路トンネル定期点検の流れ

当社では、国土交通省や各地方自治体の定期点検要領に準拠した点検を実施し、各種点検調書の作成、健全性の診断を実施しています。

また、点検から始まり、詳細調査時の各種現場調査や室内試験、補修・補強工法の提案や一部施工を実施しております。

必要書類

  • 発注公告書類 一式
  • 適宜、地質図、地形図、標準断面図、設計巻厚、施工記録、過去の点検・補修記録などの既存資料

仕様書・試験規格


現地点検

覆工表面、坑門および路面の全体に対して近接目視で点検することが基本です。

覆工表面のうき・はく離等が懸念される箇所に対し、うき・はく離等の有無および、範囲等を把握するため打音検査や触診を実施します。初回の点検においては覆工表面を全面的に打音検査しますが2回目以降の点検においては、

  • 前回の定期点検で確認された変状箇所
  • 新たに確認された変状箇所
  • 対策工が施されている箇所
  • 水平打継ぎ目・横断目地部および周辺

に対して注意を払いながら確認を行います。
さらに、トンネル内附属物等の固定状況や腐食等の損傷箇所を確認します。

また、道路トンネルの状態を把握する際には、道路利用者に被害を及ぼす可能性のあるうき・はく離部等の除去や、附属物の取付状態の改善など、点検作業の範囲内で可能な応急措置を行います。

定期点検により異常や変状が確認された場合や、過去の変状の有無や要因などによっては、原因や範囲を把握するために微破壊検査・非破壊検査などの詳細調査を実施する道路トンネルもあります。

▶ 詳細調査の一覧はこちら


▲ 参照 国土交通省「道路トンネル定期点検要領」令和6年9月 定期点検記録様式の種類より抜粋

点検調書等作成

現地点検で取得した記録をもとに、国土交通省「道路トンネル定期点検要領」の所定様式に基づいて作成します。
※県管理のトンネルにおいては、発注元の様式に基づいて作成します。


対策区分の判定、健全性の診断

対策区分の判定

トンネルの対策区分は、現地点検で把握した状態をもとに、次回定期点検までに起こり得る変化を想定かつ、構造の特徴を踏まえて評価します。

トンネル本体工に発生している変状は「外力」「材質劣化」「漏水」に区分し、対策区分の判定を行います。

▲ 参照 国土交通省「道路トンネル定期点検要領」令和6年9月 変状種類及び変状区分との関係より抜粋

▲ 参照 国土交通省「道路トンネル定期点検要領」令和6年9月 対策区分より抜粋


健全性の診断

「外力」、「材質劣化」、「漏水」に対する変状の中で、最も厳しい判定結果を抽出し、各覆工スパン単位、各トンネル単位の健全性の診断を行います。

道路トンネル定期点検により得た、道路トンネル毎の評価・診断結果は、劣化や損傷を早期発見し、対応の優先順位や応急対策が実施することを可能にします。

その他、維持管理計画の策定・見直しに活用されます。

▲ 参照 国土交通省「道路トンネル定期点検要領」令和6年9月 健全性の診断の区分より抜粋

MMSD(Mitsubishi Mobile Monitoring System for Diagnosis)を使用したトンネル点検

MMSD(三菱インフラモニタリングシステム)は、高密度三次元レーザーと高精細カメラを搭載した走行型の三次元計測・解析サービスです。走行しながらトンネル内を計測し、高精度な画像データと三次元点群データを取得することで、トンネル点検の効率化・高度化に貢献します。

打音点検前に計測を行うことで、コンクリートのひび割れや変状を把握し、点検箇所の抽出が可能となり、現地作業の効率化と負担軽減を実現します。

支援できること

  • 高密度三次元データで構造物・設備の状態を正確に把握し、効率的な点検を支援
  • 走行しながらトンネル壁面を撮影し、作業員の負担軽減と安全性向上に寄与
  • 解析により各種変状を自動抽出し、分かりにくい変状を“見える化”

▲ MMSD:三菱インフラモニタリングシステム
※クリックすると拡大します

▲ トンネル変状解析事例

インフラ維持点検支援システム「MEMOREAD®」

MEMOREAD®(メモリード)は、点群データから経年変化や構造物の変位、損傷部のスクリーニングをグラデーション表示で可視化する技術です。

点群と画像を融合し、点検の作業環境と精度の高い情報取得を支援することで、人手不足・業務効率化・コスト削減といった課題解決を後押しします。

支援できること

  • 点群データを用いた構造物の変位・形状変化の把握
  • 差分解析による損傷個所の抽出と可視化
  • 点群データの解析および資料作成などの受託対応

MEMOREAD®を活用した受託解析サービスはこちら

3.当社が調査から補修工法提案や一部施工を一貫支援

弊社は定期点検の他に、補修・補強設計資料になる各種現場調査や室内試験、補修・補強工法の提案や一部施工を実施しております。


詳細調査

定期点検により異常や変状が確認された場合や、過去の変状の有無や要因などによっては、原因や範囲を把握するために微破壊検査・非破壊検査などの詳細調査を実施する道路トンネルもあります。
補修・補強設計に必要な情報を収集するために変状の原因や進行性を各種試験、調査で把握します。

▼ 現場にて実施する試験

カテゴリ

試験名

目的

非破壊・簡易調査

テストハンマー試験

反発度からコンクリートの強度を推定。簡易的な強度評価のため、参考値として扱う。

配筋状態及びかぶり測定

コンクリート内部にある鉄筋の配筋状態と、コンクリート表面から鉄筋外側までのかぶり厚さについて、電磁波レーダ式または電磁誘導式による探査機を用いて測定し、所要の規格値や施工精度を満たしているかを確認する試験。
腐食リスクの評価やコア採取やはつり調査位置の選定にも活用できる。

表面吸水試験

コンクリート表面の吸水速度を測定し、耐久性を確認する。

破壊・微破壊調査

ドリル中性化試験

電動ドリルで躯体を削孔した試料に、 フェノールフタレイン溶液を用いて中性化深さを測定する。

鉄筋腐食度調査

コンクリートコア削孔により鉄筋を露出させ、鉄筋径・かぶり・腐食状況を目視確認。腐食の進行度合いに応じて補修計画の立案に活用する。

内視鏡観察

空洞箇所における、空洞の拡がりや水の浸入状況などの内部変状の有無を確認する。

環境要因・有害物質調査

水質分析(pH、濁度、硬度)

トンネル内に侵入する地下水や湧水が構造物に与える影響を評価する。中性化や鉄筋腐食の促進要因の把握に活用できる。

内空断面計測

トンネルなどの内部空間の形状を測定し、変形や施工精度を確認する。経年変形のモニタリングや補修設計の基礎資料に活用できる。

アスベスト調査

仕上げ材や断熱材中のアスベスト有無を確認する。

塗膜調査

塗膜中の有害物質(PCBや鉛等)の有無を確認し、除去・改修計画に活用できる。

▼ 試験室にて実施する試験

試験名

目的

コンクリートの圧縮強度試験

コンクリートの材質強度の確認する。

コンクリートの静弾性係数試験

コンクリートが荷重を受けたときにどれだけ変形をするか測定する。

中性化試験(表面法・割裂法)

コンクリート表面から内部の中性化深さを求め、中性化による鉄筋腐食の影響度を評価する。

塩分含有量試験

コンクリートの塩分含有量を求め、塩分による鉄筋腐食の影響度を評価する。

アルカリシリカ反応性試験

コンクリート中のアルカリシリカゲルの有無や、アルカリシリカ反応をおこす物質を確認する。

工法提案

必要に応じて、詳細調査で得られた補修・補強設計に必要なデータを用いて、最適な補修・補強工法のご提案をいたします。
また、一部の工種については下記補修工法により補修・補強対策の実施も承りますので、老朽化・予防保全対策に関するご相談は、ぜひ当社にお任せください。

▼ 補修工法(例)

工法

解説

表面被覆工

コンクリート表面に被覆材を塗布することで、表面を保護し劣化原因となる水分・塩分を遮断する工法。当社では主に樹脂塗膜を使用する。

表面含浸工

コンクリート表面に含浸材を浸透させることで、劣化要因となる水分・塩分を遮断するとともに耐久性などの性能を向上させる工法。当社では主にシラン系の含浸材を使用する。予防保全や初期の劣化に対して適用されることが多い。

断面修復工

コンクリート断面の劣化損傷部をはつり除去し、補修・再生する工法。様々な劣化損傷に広く適用される。

ひび割れ補修工

コンクリート構造物に発生したひび割れ内部に樹脂やセメント系材料を注入充填し、空隙を埋める工法。

弊社では、橋梁・トンネル・擁壁・道路などのインフラ構造物に対して、点検・調査・診断・補修提案、一部の工種については工事までを一貫して提供するサービスを展開しています。

設計のプロポーザル方式の入札に臨む事業者様への調査・設計に関する業務の企画立案や竣工までの各種品質管理業務に関し適切な管理項目や調査手法等をご提案します。また、入札準備に向けた調査に関する見積作成を支援します。

維持管理計画に向けた定期点検において、人員不足や繁忙期の負荷軽減などにお役立てください。











各種試験を24時間WEB注文


概算・見積が欲しい

試験・調査方法を相談したい

お役立ち情報を知りたい


電子計量証明書

交付サービスのご案内


土木工事の
施工品質基礎知識セミナー


災害対応調査のご依頼


採用情報